2023/5/1 
空知振興局×パッシブ研
転入増で人口200人増加 ―人気の南幌町で住宅技術セミナー開催―
2023年4月15日号北海道住宅新聞に掲載された記事を、同紙の承諾を得て転載します。
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空知総合振興局とNPOパッシブシステム研究会が共催する住宅技術者向けセミナーが3月22日、移住者増に沸く南幌町で開かれ、見学会とセミナーともに40名ほどの参加者で熱気にあふれた。
見学会は、南幌町が建設した移住体験住宅で、竣工直前の物件。2LDKの平屋で、新築住宅の建設でにぎわう同町東町に建っている。木外装や200㎜断熱など北海道の住宅技術も採用されている。
午後からのセミナーでは、移住体験住宅の設計者で㈲アーキシップ・アソシエイツ所長の久保田知明氏が、同住宅や自身が設計したきた住まいるビレッジの増築事案などについて説明した。
続いて南幌町まちづくり課主事の北嶋宏光氏が同町の移住・定住施策を説明。それによると、同町は2040年の高齢化率が63%に達するという予測もあり、子育て世代の移住促進に力を入れてきた。その施策と札幌圏の地価高騰の影響もあり、この5年で転入者が増え、昨年度は転入者が280人を超え、3月1日現在で人口が前年同期比198人増と24年ぶりに人口増に転じた。
今年度も子ども向け施設のオープンが予定されているほか、ニュータウン・みどり野団地の販売も好調という。
技術についての講師はパッシブシステム研究会と道、北方建築総合研究所が担当し、最初に同研究会の松浦邦充氏(㈱松浦建設社長)がパッシブ換気の概要を説明したあと、そのメリットとともにデメリットも説明。お客さまに説明する際は、リスクについても知ってもらった上で、パッシブ換気を採用してほしいからと語った。
その後は同会理事長の福島明氏(北海道科学大学名誉教授)が、いま全国的に関心の高い全館空調とパッシブ換気・暖房システムを比較しながら特徴を説明し、ファンを使って空気を送り出す空調は、ダクト内にゴミがたまってしまう。このためフィルターがとても大切になるが、パッシブ換気は空気がゆっくり動くので静電気が起きず、ホコリがつかない。メンテがラクなパッシブ換気に対し、フィルターを含めた維持管理がとても大切な全館空調を比較すると、パッシブ換気が優れていると思う。開口部の高断熱化によって窓面の冷気流対策が必要なくなり、これからはパッシブ換気+エアコン暖房も可能だと語った。
最後に北海道と北方建築総合研究所が本年度から取組を開始する道独自のゼロカーボン住宅基準「北方型住宅ZERO」を説明。道では、南幌町に同基準のモデル団地を計画し、すでに募集を開始した。
2023/3/14
2月14・15日に札幌で第10回「大合宿」を開催しました。
NPOパッシブシステム研究会では、去る2月14・15日に同研究会の最大行事となる第10回大合宿を、札幌市内のジャスマックプラザホテルで開催。『なんでも話そうパッシブ換気「基本と現在、わかっていること・分からないこと」』をテーマに、理事長の福島明先生を始め理事・顧問の先生方が講演を行ったほか、恒例の「なんでも話そう生討論」では参加会員がグループに分かれて施工技術や設計方法、失敗したケースなどについて議論を交わしました。
2020年以来の開催となった今回の大合宿では、1日目の冒頭に福島先生が「3年ぶりに会員のみなさんが集まって話ができる機会ができた。この間に行ってきた活動や取組みの報告も含め、いろいろと議論を深めるチャンスになると思う」とあいさつ。
続いて理事・顧問の繪内正道先生と、名誉理事の(有)フォルムデザイン社長・中野隆二氏が、昨年発行した『パッシブ換気の計画・設計の要点』について紹介しました。
中野氏は「この研究会には毎年新しい会員が入ってくるが、パッシブ換気の設計をどのように行えばいいのかわからないという声も聞く。そこで新しい会員にもパッシブ換気の設計・施工ノウハウを伝えたいと考え、この冊子の制作を思いついた。ここに載せ切れなかった内容は、第2の冊子を制作し掲載することを考えている」と、冊子を発行した目的や掲載内容のポイントなどを説明。
繪内先生は、パッシブ換気について1995年に(一社)日本建築学会の委員会等で開発・研究に取組み、報告書をまとめた後、普及に至るまでに制作・改訂を行った設計・施工マニュアルのエピソードなどを紹介したうえで、「これだけ電気代が上がってくると、電気暖房で光熱費に困っている人も多いだろう。そこで熱源に電気・ガス・灯油をそれぞれ使う住まいにしておけば、何かあった時のリスクを分散できる。例えば灯油300リットルだけで1シーズン暖房できるパッシブ換気の家を造ることができれば、ホンの少しの熱を供給するだけで、室温も換気量も簡単に確保できるのではないか。これからはエネルギー価格が2倍、3倍になることも念頭に、家づくりにおいて住まい手が困らないよう手助けすることが、私たちの重要な仕事と言える」と、今後の家づくりの方向性を示唆しました。
窓の性能向上で床下放熱器・床面開口の位置は自由に
休憩をはさんで行われた福島先生の講演『パッシブ換気現在進行形(ペリメータレス デマンド換気暖房について)』では、現在会員が建てている住宅は窓の性能が昔の断熱外皮並みに上がったことによってペリメータレス(=室内で窓際など外部環境の影響を受けやすいエリアがないこと)となり、パッシブ換気では床下放熱器と床面開口の位置を窓下に限らず自由に設定できるようになったほか、1階天井ふところの横方向の空気の流れも考える必要がなくなったと説明。
福島先生は「UA値が0.4Wから0.25Wになると、パッシブ換気に必要な熱量は半分になり、循環させる空気量も半分で済んで対流もなくなる。さらに少ない空気循環量で2階も十分暖房できる。放熱器の数も半分で済み、床下エアコンでも全室温度ムラなく暖房することが可能だ」と話し、ペリメータレスによるパッシブ換気を来年度の活動テーマの一つとして、マニュアルを整備し設計事務所会員が設計を行える体制を整える考えを示しました。
今後の方向性や失敗談など活発に議論
1日目の最後は大合宿恒例の『なんでも話そう生討論』が行われ、パッシブ換気の技術・設計方法とこれまでの失敗談について、会員が6つのグループに分かれて議論。
技術・設計方法では「床面開口のガラリをなくしたい」「今後はリフォームでのパッシブ技術の展開が避けて通れないのではないか」「高齢化が進む中、メンテ不要であることを大いにPRするといいのでは」など、失敗談では「屋根の排気塔が大雪で埋まり、排気は普通に行われていたが雪庇の原因になった」「排気グリルにビニールを貼って排気を止めていたお客様がいて結露が起こった」などの意見や体験談が発表され、その後の懇親会でもお酒を酌み交わしながら活発な議論が行われました。
2日目は、最初に繪内先生が『なんでも話そう生討論』のまとめを行った後、顧問で(有)タギ建築環境コンサルタント代表のサディギアン・モハマッド・タギ氏が『旧荒谷邸 パッシブ換気の原点』をテーマに講演。続いて賛助会員のプレゼンテーションが行われ、盛況のうちに閉会となりました。
2022/9/27
8月2日に札幌市内の内田洋行ユビキタス協創広場U-calaで会員向けセミナー「高性能住宅のタイプとパッシブ換気システムの住宅事例紹介」を開催。
パッシブシステム研究会では、去る8月2日に札幌市内のサッポロファクトリー内にある内田洋行ユビキタス協創広場U-calaで会員向けセミナー「高性能住宅のタイプとパッシブ換気システムの住宅事例紹介」を開催。理事長で北海道科学大学名誉教授の福島明先生が「民家型超高性能住宅と宇宙船型超高性能住宅の特徴とメリット」をテーマに講演したほか、会員3社がパッシブ換気住宅の施工事例を発表しました。
最初に講演を行った福島先生は、住宅の超高断熱化がもたらしたものとして、①ペリメーター(室内で窓際など外部環境の影響を受けやすいエリア)の解消②熱容量の増大③超低負荷暖房の実現―を挙げ、その一方で室内の温度ムラが新たな課題となっていることを指摘。「超高断熱住宅で温度ムラを解消する方法の一つとして、パッシブ換気・床下暖房はものすごい可能性を秘めている。小さな熱量を分散して温度ムラを解消するには、全館空調だと大量の空気をずっと室内全体に回す必要があるし、エアコン1台だと熱を室内全体に分散することができない。その点、パッシブ換気・床下暖房は、空気を自然循環させるので不快な気流が生じず、温度ムラがなくなれば止まるのが大きなメリットだ」と、超高断熱化とパッシブ換気・床下暖房の相性の良さを強調しました。
また、福島先生は超高性能住宅の今後の方向性として、日射や通風などの外部要因を排除し、室内環境は全館空調システムやHEMSを中心に寒さ・暑さに対処する“宇宙船型”と、日射や通風をうまく活かして室内環境を快適に維持し、空調システムなどは補助として利用する“民家型”の2つのタイプを説明。「宇宙船型は低透過型の窓が必要になり、民家型は高透過型の窓が必要になるが、民家型は外壁の方位によってガラスの種類(日射透過率)を最適化する方向に行くべき。それで暖房費はかなり変わるはず。住宅ごとにどんなガラスを使えばいいのか、サッシメーカーに提案してもらうといいのでは」と、方位によって適切な日射透過率の窓ガラスを選択することが、暖房費削減に効果的だと話しました。
講演の後には、(株)ボンアーキテクツの森徳彦社長がオホーツク・遠軽町の施工物件、(株)江田建設の江田清三社長が小樽・銭函の施工物件、辻野建設工業(株)の辻野浩社長が当別や札幌などの施工物件をそれぞれ紹介。最後に福島先生が「住宅の性能が大きく向上し、家づくりがこれまでとは別のフェイズに入ったことを意識してほしい。パッシブ換気も住宅性能の向上によって進化したと感じており、換気量と室温の数値解析プログラムなどを使ってさらに科学的に進化を続けていければいい」と話し、セミナーを締めくくりました。
2022/6/5
第18回通常総会が開催されました。
2022年5月13日に札幌市内で第18回通常総会が開催され、今年度の事業活動や予算などを審議・承認し、総会終了後には前理事長で北海道大学名誉教授の繪内正道先生による記念講演『「パッシブ換気の計画・設計の要点」製作にあたって』も行われました。
総会では理事長で北海道科学大学名誉教授の福島明先生が議長を務め、事業活動や予算など各議案を審議し、いずれも全会一致で承認。今年度の事業としては、会員向け事業として昨年度から行っている床下エアコンのパッシブ換気住宅への適用に関する勉強会・現場見学会や、一般市民も対象としたセミナー、会員が1泊2日で勉強・討論を行う恒例の大合宿の開催、札幌板トップランナー水準のパッシブ換気住宅実現に向けた実証研究・試験などを計画しています。
また、役員改選では理事・監事全員を再任したほか、10年継続会員表彰を㈲アルファ設計倶楽部(旭川市)と㈱伊善建設(帯広市)に行うことが報告されました。
続いて行われた記念講演では、繪内先生が今年発行された会員向けの冊子『パッシブ換気の計画・設計の要点』を製作した時のエピソードや、掲載している内容のポイントなどを紹介。
同冊子は、元理事長の中野隆二氏((有)フォルムデザイン社長)が執筆した原稿を、繪内先生を中心に北海道大学大学院教授・林基哉先生と同准教授・菊田弘輝先生を含む冊子化検討委員会でまとめて発行したもの。繪内先生は「パッシブ換気住宅を建てている中で、『この設計で大丈夫だった』とか『こういう工夫をしたけど大丈夫だった』という積み重ねが自信にもつながっていくと思うが、どんな住宅でパッシブ換気を行うにしても、自信がついた時こそ原点に返って室温や換気量、暖房負荷等の数値解析を行ったり、当会顧問の先生に相談するなどして、顧客が安心して暮らせる住宅を建ててほしい」と、会員に呼びかけました。
2021/2/5
NPO法人パッシブシステム研究会、ソトダン21、北海道ビルダーズ協会、アース21の4団体合同オンライン特別Zoomウエビナー「2021/住宅産業大予測〜コロナショックをコロナチャンスに〜」が1月19日(火)に開催されました。

コロナ禍という苦境をチャンスと捉え、住宅業界のさらなる成長につなげていこうと、NPO法人パッシブシステム研究会・ソトダン21・(一社)北海道ビルダーズ協会・アース21の4団体では、合同オンライン特別ウエビナー「2021/住宅産業大予測~コロナショックをコロナチャンスに~」を、1月19日に開催。道総研理事の鈴木大隆氏と(株)新建新聞社社長の三浦祐成氏が、地方定住の促進や、住宅会社による動画サイト『YouTube』の活用について基調講演を行ったほか、北海道科学大学教授で当会顧問の福島明先生をコーディネーターにお招きして基調講演を踏まえた意見交換会なども行われました。なお、今回のセミナーは北海道から沖縄まで、230名以上が視聴しました。
空き家利用しコンパクトなまちへ
セミナーではまず鈴木氏が、「大都市への一極集中と地方の過疎」をテーマに講演。現在国内では、公害発生やインフラの混雑を招く大都市への一極集中と、鉄道や商業施設が撤退し、その地域の住民の生活に支障を来す過疎が問題となっていますが、鈴木氏は新型コロナであらゆる業種で仕事のオンライン化が進んだことや、実際に都市部から地方へ移り住む流れが生まれつつあることもあって、一極集中と過疎の問題は解消に向かっていくのではないかと考察。
その上で、人々の地方定住を実現するために生活圏のコンパクト化が重要になると提言し、生活圏のコンパクト化にあたって空き家の活用を提案。生活圏は郊外に新築が建てば建つほど広がるが、人々の生活圏の拡大は都市経営コストの負担増につながるとし、「街の中心部に多い古い空き家を改修して、安全・快適に住めるようにすることが、コンパクトな生活圏の実現につながるのでは」と提言したほか、地方は大都市に比べて水道光熱費が割高であるデータを示し、こうしたコスト面も地方移住の弊害になっていると指摘した上で、「水道光熱費の問題をクリアするためには、省エネルギーな家づくりが鍵になる」と話しました。
指示される動画のポイント
続いて三浦氏が「コロナショックをチャンスに変える方法」をテーマに講演し、まずは現在の住宅業界について、ステイホームによってユーザーの住環境に対する関心が高まったことや、グリーン住宅ポイント制度に代表される、“グリーンリカバリー”と呼ばれる気候変動対策と経済対策をセットにした政策を国が進めていることなどによって、追い風が吹いていると説明。そして今後の経済について、ワクチンの接種開始や国の経済対策などによって4~6月頃に好転し、回復に進むと推察し、「経済の活性化を見越して、今のうちから手を打つべきだ」と訴えました。
また、住宅会社が打つべき手の一つとしてYouTubeを活用した情報発信を推奨。YouTubeの国内ユーザー数はおよそ8100万人にのぼっており、さらに主な住宅取得者層の20~30代の利用率をみると約9割に達していることから、自社の家づくりをPRするには絶好の場になると強調。YouTubeにはすでに、家づくりの基礎知識などについての動画を投稿している住宅系ユーチューバーが存在していますが、三浦氏は一定の支持を得ている住宅系ユーチューバーの動画のポイントについて、「住み心地の良い家にするにはこれくらいの性能や設備が必要といったような、施主が参考にできる家づくりの物差しを伝えている」と紹介し、さらに「住宅はハード面での差別化が難しい。市場調査しトレンドを追っていくと、結果的に他社と似たようなプランに行き着く。そこで『人』という強みがあれば、施主から自社を選んでもらいやすくなる」と、YouTubeを使った情報発信はユーザーのファン化というメリットがあることも説明しました。
この後、東京大学大学院准教授の前真之氏が、ソトダン21のオンラインセミナーで講演予定の「快適断熱リフォーム」について紹介。福島先生がコーディネーターを務めた意見交換会では各団体の代表者から今回のセミナーを踏まえてユーチューバーとしての活動を本格的に検討したいといった声も聞かれ、意見交換会のコーディネーターを務めた福島先生は、地場工務店がWithコロナという難しい時代の中で今後どう事業に取り組んでいくかについて、「YouTubeをはじめ、チャンスを掴む手段は様々ある。自社に適した方法を見つけてほしい」とコメントしました。
なお、当会会員のみなさまは、当日の基調講演等を録画したビデオデータを会員専用ページの「写真・映像データ」からダウンロードすることができます。ぜひご覧下さい。
2021/1/8
1月19日(火)にNPO法人パッシブシステム研究会、ソトダン21、北海道ビルダーズ協会、アース21の4団体合同オンライン特別Zoomウエビナー「2021/住宅産業大予測〜コロナショックをコロナチャンスに〜」が開催されます。

2021年1月19日(火)午後2時から5時まで、NPO法人パッシブシステム研究会、ソトダン21、北海道ビルダーズ協会、アース21の4団体合同オンライン特別Zoomウエビナー「2021/住宅産業大予測〜コロナショックをコロナチャンスに〜」が開催されます。
講演内容は次の通りです。
基調講演1.『環境・地域・ひと豊かさからみたこれからの住まいづくり』
地方独立法人 北海道立総合研究機構 理事 鈴木大隆氏
基調講演2.『コロナショックをコロナチャンスに 住宅産業大予測2021』
新建新聞社代表取締役社長 新建ハウジング発行人 三浦祐成氏
また、次回ソトダン21オンラインセミナー(快適断熱リフォーム)について、講師の東京大学大学院准教授の前真之氏が紹介するほか、
北海道科学大学教授の福島明氏がコーディネーターを務める質疑応答も行われます。
受講料無料で定員は400名。開催趣旨やプログラム、参加申し込みなどについて、詳しくは右のサムネイル画像をクリックして下さい 。
2020/3/10
2月18・19日に石狩・新篠津村で第9回「大合宿」を開催しました。
NPOパッシブシステム研究会(繪内正道理事長、北海道大学名誉教授)では、去る2月18・19日に毎年恒例となった第9回大合宿を、札幌近郊の新篠津村・しんしのつ温泉たっぷの湯で開催。『令和の時代の中でパッシブ換気技術の確立と更なる普及を目指してい』をテーマに、当会副理事長で北海道科学大学教授の福島明先生と国立保険医療科学院統括研究官の林基哉先生による講演や、ディスカッション『なんでも話そう生討論』、北海道大学環境科学研究教育センター特任准教授の荒木敦子先生による特別講演などが行われ、約50名の参加者がパッシブ換気技術を研さんするとともに議論を交わしました。
初日は冒頭に繪内理事長が、「1960年代における札幌の乳幼児の死亡率が東京より半減している要因は、札幌のストーブ暖房の普及とそれにともなう室温の確保にあると、疫学的に立証されている。北海道ではやはり室温の確保がとても大事だったということだ。また、1900年から1980年までの米国における感染性疾患の死亡率の変化を見てみると、1910年頃がピークで40年代に入るともう80年代と変わらないレベルまで低減したと言われている。その理由は、住環境の改善、特に空気質や熱環境性能の目覚ましい向上にある。そのような経緯があって今の私たちのパッシブ換気もあるが、長い時間軸の上でパッシブ換気をこれからどうしていくべきか。講演で話題提供して頂く各先生の講演内容も踏まえて生討論に臨んで頂ければ」とあいさつ。
また、実行委員会の佐藤誠委員長(大平洋建業㈱社長)が、「今年の大合宿は新たな取組みとして、少し地方に出てみようかということになり、しんしのつ温泉にお世話になることとなった。いろんな講演や生討論を含めて、みなさんのお気付きの場になればと思う。2日間長丁場になるが、みなさんの力で意義のある会にしていきたい。また、この大合宿を実行するにあたって、実行委員のみさなさんに企画・準備していただいたことにお礼を申し上げたい」と感謝の辞を述べました。
続いて福島先生が『パッシブ換気パーツ維持管理必要性調査結果と機械換気の抱える課題』と題して特別講演を行い、機械換気の課題や、パッシブ換気で採用されたアースチューブの汚れの確認調査結果、ホーム空調採用のポイントなどを紹介。
福島先生は、換気を行うと寒くなり、乾燥感や気流感もあることから、換気は不快にならないように考えないといけないが、換気の設計・施工にかかわる専門家がいないこと、換気が正常か不良か工務店も住まい手もわからないこと、日本では換気本体を小屋裏や天井ふところに設置してしまうために保守が非常にやりにくくなっていることが大きな課題になっていると指摘。そのうえでパッシブ換気の利点として、給気も排気も温度・湿度で制御してデマンド換気を実現でき、ファンやフィルターも不要になることなどを挙げました。
また、パッシブ換気のアースチューブ(地中埋設給気管)については、夏季の結露やゴミ溜まりを心配する声もあるが、これまで施工された6軒の住宅で汚れ具合の調査を行ったところ、築3年の住宅1軒で真夏にわずかな結露があったほかは、築10年の住宅でもゴミの堆積は一切ないことを確認。「年数が経ってくるとだんだん管内の表面が黒くすすけてくるものの、ゴミが溜まっていないのは夏でもちょっとした風で十分空気が流れているからと考えられる。管の径が大きく、流速も遅いために、ゴミやホコリが引っ張られず、溜まることもないのではないか」と調査結果を分析しました。
休憩を挟んで行われた『なんでも話そう生討論』は、参加会員が6つのグループに分かれてパッシブ換気のメリット・デメリットや夏季のエアコン併用、基礎断熱のシロアリや床下空間の清掃方法などについて議論。その内容を各グループの代表者が発表しました。繪内理事長は「夏季にどのようにエアコンを使えば、電気の使用量を抑えて涼房環境を得られるかは、道内で議論していかなければならないことだったので、今日はいい機会になった」と総括。また、同会顧問で北海道大学大学院工学研究院准教授の菊田弘輝先生は「南幌町のみどり野きた住まいるヴィレッジ第1期で空気質測定を行ったところ、パッシブ換気を採用した住宅が一番良好で、1年後に見た床下空間もきれいだった。みなさんも自信を持って頂きたい」と参加会員を勇気づけました。
この後、林先生が『常時換気効果の実態とパッシブ換気の展開』と題して基調講演を行い、気密化と計画換気の実態とリスクなどを解説。
気密性が高いほど、換気の種類によっては壁体内や床下・小屋裏から空気汚染物質が室内に侵入する可能性が高くなること、中間期の換気量確保のために給気温度が高いほど開口面積が大きくなるサーモセンサー付給気口を用いたパッシブ換気では、風の影響もあって夏でも所定の換気量を確保できたことなどを説明し、換気システムのこれからの展開として、機械が壊れた時にも換気量と空気質が維持されるフェイルセーフが必要になってくることを強調。
さらに気密化と換気計画の要点として「各部屋の空気質維持のため十分な気密性能を確保し、壁体内など構造内部からの汚染物質発生に留意するのはもちろん、新しい建材を導入する時には放散物質を確認することが大事。気密測定・換気風量測定もやらないといけない。空気汚染物質の発生源対策としては、材料管理に注意するほか、構造内部からの空気汚染物質も確認できるよう、レンジフード運転時の室内VOC濃度測定を行うのがいい」と、参加者にアドバイスしました。
初日は最後に賛助会員のプレゼンテーションが行われ、続く懇親会では参加会員がパッシブ換気について語り合いながら親交を深めました。
2日目は、最初に前日の「なんでも話そう生討論」の感想発表と、荒木氏による特別講演『私たちの身近な住まいの室内環境と健康』、賛助会員のプレゼンテーションが行われ、閉会となりました。
2019/11/25
11月16日(土)に札幌市内で令和元年度第1回パッシブ・市民セミナー『私たちの身近な住まいの室内環境は今。換気、これからは』―私たちがパッシブ換気を選択する理由(わけ)―を開催しました。
去る11月16日に札幌市内で令和元年第1回パッシブシステム・市民セミナー『私たちの身近な住まいの室内環境は今。換気、これからは―私たちがパッシブ換気を選択する理由(わけ)―』を開催。北海道大学環境健康科学研究教育センター特任准教授の荒木敦子先生と、当協会副理事長で北海道科学大学工学部教授の福島明先生に、室内環境と健康との関わりや、換気システムの現状と課題などについて講演して頂きました。
冒頭、繪内理事長が「今回のセミナーは、換気について基本に戻って考えてもらおうと企画した。荒木先生にがお話しする室内空気質と子どもの健康との関係は、私たちが関心を持っていても、対応が手薄になっていることもあると思う。また、福島先生にはパッシブ換気と機械換気それぞれに焦点をあててお話しして頂く。私たちはふだんパッシブ換気の良さを強調しているが、機械換気にも良さがある。両方の接点についても知って頂ければ」とあいさつ。
講演では最初に荒木先生が、『私たちの身近な住まいの室内環境と健康』と題し、室内空気中の化学物質や温湿度環境、換気、ホコリなどと、居住者のシックハウス症候群や喘息・アレルギーについて紹介。
荒木先生は、「体重75kgの成人男性が1日に摂取する空気量は15kgと、食べ物の750gや水の1.5kgよりずっと多いが、食べ物や水の安全性には気を遣っても、空気への関心はまだまだ低い。特に1日の6割の時間を過ごす自宅室内の空気環境はとても重要なので、もっと関心を持ってもらいたい」と、室内空気質に意識を向けることの必要性を強調。そのうえで、札幌の小学生の家庭で行った調査結果などから、①札幌市内では小学生の8.5パーセント、約15人に1人がシックハウス症候群を発症していると思われること②戸建住宅の化学物質濃度が全国他地域より高めであること③ハウスダスト中のフタル酸エステル類(可塑剤)やリン酸エステル類(難燃剤)の濃度が高いほどアレルギーやアトピー性皮膚炎のリスクも高いこと④ダンプネス(湿気)が多くなるほど、結露・カビなどの発生によって、シックハウス症候群やアトピー性皮膚炎の症状を訴える人が多くなることなどを説明しました。
また、「室内空気環境の汚染原因は変化する。建材由来の化学物質は徐々に少なくなっていくが、住まい手が持ち込む家具や芳香剤などから放散される化学物質は増えていくし、ダンプネスも増える可能性があるほか、古い家ではダニや微生物の問題もある。新築だけでなく、築年数が経った住宅や住まい手のライフスタイルによってもシックハウス症候群やアレルギーは起こっていると考えられ、どの住宅でも適切な暖房・換気を行うことと、ホコリなどハウスダストを減らすことが必要」と、室内空気汚染による健康障害を防ぐポイントとして、暖房・換気・清掃の大切さを訴えました。
続いて福島先生が『私たちがパッシブ換気を選択する理由』と題して、換気システムの課題や目指すべき方向、パッシブ換気の魅力などを講演。
福島先生は初めに住宅換気先進国・スウェーデンの換気関連団体が作ったパンフレットを示し、「このパンフレットには換気がいかに難しいかが書かれてある。本当に換気は難しい。それは換気することが快適性を阻害することになるためだ。快適性を左右する一番の要因は温度だが、換気は快適な温度の維持を阻害してしまう。だから快適さを阻しないように換気することが大切になってくる」と、換気を行うことがいかに難しいかを話したうえで、換気の課題として、人間は空気質に対して鈍感なこと、ほとんどの換気システムは計画通りに動いていないこと、換気に対する住宅業者の関心はコストと施工性しかないことなどを紹介。
また、「特に住宅換気に関する専門家がいないことは永遠の課題で、換気システムがちゃんと動いているかどうかが誰一人わからない。住まい手も空気は見えないし、汚れも感じないので、換気が正常か不良かもわからず、止めたほうが寒くないし省エネだと感じてしまう。そして日本の換気の一番の問題が、換気本体を小屋裏や天井ふところに設置してしまうこと。保守が非常にやりにくい」と、日本の換気システムが抱えている問題点なども指摘。これらを踏まえたうえで、住宅の換気で大切なことは“止まらないこと”と“止めないこと”に尽きると述べました。
さらにこのような住宅換気の課題解消を目指し、床下空間と建物の高い位置での開口を利用した換気システムがパッシブ換気であることも説明。「湿度感知型の排気グリルにより、室内の人数に応じて換気量を制御でき、機械動力のファンを使わないので省エネにもなる。給気する外気の予熱もできるなど快適で、止まらないし、保守もいらない。現在このパッシブ換気より優れた換気システムは、まだ見つかっていない」と、パッシブ換気の特徴について説明しました。
2019/11/18
12月3日(火)に旭川で上川総合振興局と同振興局地域住宅協議会が主催し、当研究会などが後援する上川地域住宅セミナー『いま一度、住宅性能向上と会社経営のヒント』が開催されます。

12月3日(火)午後1時30分から4時まで、旭川市内の(独法)道総研建築研究本部・北方建築総合研究所1階多目的ホール(旭川市緑が丘東1条3丁目1-20)で、上川総合振興局と同振興局地域住宅協議会が主催し、当研究会などが後援上川地域住宅セミナー『いま一度、住宅性能向上と会社経営のヒント』が開催されます。
このセミナーは、高断熱・高気密の必要性やメリットに加え、会社の生き残りに不可欠な経営指針・経営計画についても紹介する内容で、北海道大学大学院工学研究院准教授で当会顧問の菊田弘輝先生が「高断熱・高気密住宅の便益」、道総研建築研究本部・北総研企画調整部企画課長で当会顧問の廣田誠一先生が「住宅研究の今後」、道中小企業家同友会経営指針委員会委員長の高原淳氏が「経営指針について」、道建設部建築指導課建築企画グループ技師の生越美咲氏が「『(仮称)北方型住宅2020』と『きた住まいるヴィレッジ』の取組みについて」と題して、それぞれ講演します。
参加ご希望の方は所定の申込書を11月29日(金)までに上川総合振興局建設指導課へFAXで送信して下さい。参加無料で定員は100名程度です。
詳しくは右上のサムネイル画像をクリックして下さい。
お問い合わせ・お申し込みは上川総合振興局旭川建設管理部建設行政室建設指導課まで(TEL0166-46-5945、FAX0166-46-5209)。
2019/10/20
11月16日(土)に札幌市内で令和元年度第1回パッシブ・市民セミナー『私たちの身近な住まいの室内環境は今。換気、これからは』―私たちがパッシブ換気を選択する理由(わけ)―を開催します。(終了しました)

11月16日(土)午後1時30分から4時まで、一般市民の方や住宅関連技術者の方を対象とした令和元年度第1回パッシブ・市民セミナー『私たちの身近な住まいの室内環境は今。換気、これからは』―私たちがパッシブ換気を選択する理由(わけ)―を、札幌市立大学サテライトキャンパス(札幌市中央区北4条西5丁目アスティ45・12階)で開催します。
高性能な住宅だからこそ可能な“自然の力の利用“が今注目されている中、基礎断熱した床下を利用する自然給気と排気筒からの排気、床下暖房を組み合せ動力は極力少なくする換気・暖房システム(パッシブ換気)をはじめ、夏の緑のカーテン、冬は窓から積極的に太陽光を取り入れ暖房負荷を下げる手法など、自然の力を利用した住宅技術のテーマは数えきれません。
そこで今回は、『私たちの身近な住まいの室内環境は今。換気、これからは』をメインテーマ、「私たちがパッシブ換気を選択する理由(わけ)」をサブテーマとし、講師の北海道大学環境健康科学研究教育センター 特任准教授 荒木敦子先生に「室内空気中やホコリの中の化学物質や温湿度環境、換気と居住者のシックハウス症候群や喘息・アレルギー特に子どもとの関係を中心に」お話をして頂きます。また、当会副理事長で北海道科学大学工学部建築学科 教授福島明先生に“パッシブ換気の魅力”や“今後の機械換気の方向”について、お話しをして頂きます。
参加ご希望の方は以下のご案内をダウンロードし、裏面の参加申込書に必要事項を記入の上、11月14日(木)まで事務局へFAXでお送り頂くか、お電話でお申し込み下さい。参加無料で定員は先着60名です。
・ご案内(参加申込書)ダウンロード(Wordファイル)
お問い合わせ・お申し込みはNPO法人パッシブシステム研究会事務局(TEL.011-213-7547、事務局携帯090-7645-7873、FAX.011-213-7548)まで。
2019/10/20
パッシブ換気システムについて詳しく紹介したパンフレット『パッシブ換気システム・四季折々、豊かな暮らし』を発行しました。
当研究会ではこのほど、パッシブ換気システムの特徴や仕組み、メリットなどについて詳しく紹介したパンフレット『パッシブ換気システム・四季折々、豊かな暮らし』を発行しました。
パッシブ換気システムではどのように新鮮な外気を室内に導入して、汚れた空気を排出するのか、採用するにはどのくらいの住宅性能が必要なのかを図版と写真でわかりやすく解説するとともに、それによって得られる10の効果を紹介しています。
入手ご希望の方は、当協会会員または事務局までお問い合わせ下さい
(右のサムネイル画像をクリックすることにより、PDF版<4.4MB>をダウンロードしてご覧頂くこともできます)。
2019/8/9
7月31日に札幌市内で令和1年度第1回会員向けセミナー「パッシブ換気住宅見学&解析入力実践講座・その2」を開催。
パッシブシステム研究会では、去る7月31日に札幌市内で令和1年度第1回会員向けセミナー「パッシブ換気住宅見学&解析入力実践講座・その2」を開催。最初に大平洋建業(株)が建設したパッシブ換気・床下暖房住宅を見学し、続いてパッシブ換気数値解析ワーキンググループが作成した「解析ソフト」による見学住宅の空気循環をシミュレーションや参加会員とのQ&A、昨年(株)辻野建設工業が建設したパッシブ換気住宅の冬期間の室内環境実測報告などを行いました。
セミナーには当会会員20名が参加し、最初に午後1時から札幌市東区で大平洋建業(株)が建設した「パッシブ換気・床下暖房システム、ソーラーウォーマー設置」の住宅を約1時間にわたり見学しました。続いて午後3時から会場を東区区民センター別館集会室Bに移し、パッシブ換気の「解析ソフト」に見学した住宅の仕様を入力して暖房空気循環をシミュレーション。理事長の繪内先生と参加会員のQ&Aを行いながら、“入力経験の積み重ね”をしました。
また、昨年11月に竣工した辻野建設工業(株)のパッシブ換気住宅で、今年5月まで行った温度・湿度・CO2などの室内環境測定結果の報告や、換気・暖房計画の修正から実施工、実測による修正結果の確認などによる「解析ソフト」の効果確認を、顧問の北海道大学大学院・菊田弘輝准教授に行って頂きました。
参加した会員からは「大変勉強になった。やはり現地で実際に施工された住宅を見て解説して頂くのが一番わかりやすい」という声もあがるなど、「解析ソフト」を利用するにあたってとても参考になるセミナーとなりました。
2019/6/6
第15回通常総会が開催されました。
去る5月11日に札幌市内で第15回通常総会を開催し、今年度の事業活動や予算などを審議・承認したほか、総会終了後には北海道大学名誉教授の平井卓郎先生による特別講演も行われました。
総会でははじめに繪内正道理事長があいさつに立ち、「総会はどういう方向に向かって研究会を進めていくのかを確認する大切な機会だが、一方でマンネリ化をどう反省するか、どう評価するかも大事。何となくうまくいったことが積み重なってマンネリになると慢心を生み、あとでしっぺ返しに遭う可能性があるが、マンネリと思われることでも、経験の積み重ねで一定の成果が出ているのであれば、それは本州にはない道内ならではの地域性・独自性の発見にもつながるはず。それを踏まえたうえで会員のみなさんがお客様と一緒にパッシブ建築を造っていくことが、会の活性化にもつながる」と、会員にエールを送りました。
続いて事業活動や予算など各議案の審議認が行われ、今年度の事業としては、会員・一般市民向けセミナーや1泊2日で講演・討論会などを行う大合宿の開催、道や道内各市町村との連携によるパッシブ技術の普及活動、パッシブ換気で熱交換を可能にする“蓄熱ボックス”の実用化、太陽熱集熱パネル・ソーラーウォーマーを利用した夏季の床下防露対策試験の実施などを全会一致で承認。
また、10年継続会員表彰も行われ、拓友建設㈱(札幌市、妻沼澄夫社長)と、㈱宮下建築設計(札幌市、宮下久社長)に、繪内理事長から賞状が手渡されました。
総会終了後には、平井先生が『木造住宅の実質性能と耐用性(構造技術者の視点から)』と題して講演。平井先生は木造建築物で必要十分な耐久性を確保するための設計ポイントとして、木材の腐朽や釘・金物のサビ、シロアリの繁殖を防ぐ対策が重要になることを指摘。特に木材の腐朽と金物のサビに対しては、壁内・小屋裏・床下などに水分を侵入・滞留させないことが必要と話し、「腐朽・虫害などによる木材の劣化は、使用環境によって進行速度に大きな差がある。木材が腐朽菌やシロアリにとって好ましくない環境にあれば、長期間にわたり初期の耐力が維持されるが、腐朽菌やシロアリが好む環境にあると耐力が数年で数分の1まで低下してしまうことがある」と注意を促しました。
2019/3/12
3月8(金)に胆振・白老町で「白老町内に平成19年建設のパッシブ換気住宅見学会と地域セミナー」を開催しました。
3月8日(金)午後1時から4時まで、当会会員および会員外の工務店・設計事務所を対象とした「白老町内に平成19年建設のパッシブ換気住宅見学会と地域セミナー」を白老町「一水之館」(施工:大平洋建業(株))で開催しました。
当日は地元や近郊の建設会社、設計事務所と当会会員20名が参加する中、10年前に建設されたパッシブ換気住宅である「一水之館」を見学。続いてこの住宅の「暖房設備の設計法の解説」を当会理事長の繒内正道先生(北海道大学名誉教授)が行いました。
参加者は、住宅の断熱気密性能にこだわって、炊事や家電等の生活排熱、人体から発生する熱や日射取得熱を利用し、冬季の生活空間を暖める工夫や夏の上方開放換気(高窓換気)の励行によって、「暖める」技術から「寒さを取り除く」技術への発想転換へのヒントや基本的考え方を具現化したパッシブデザインの原点に触れ、家づくりへの想いを新たにしていました。
2019/3/12
2月19・20日に札幌で第8回「大合宿」を開催しました。
NPOパッシブシステム研究会(繪内正道理事長、北海道大学名誉教授)では、去る2月19・20日に毎年恒例となった第8回大合宿を札幌市内で開催。『新たな時代(新元号)の中でパッシブ技術の確立と一層の普及を目指して』をテーマに、顧問で北海道大学大学院工学研究院准教授の菊田弘輝先生による基調講演や、ディスカッション『なんでも話そう生討論』、道総研・北総研主査の村田さやか氏と、気象予報士・防災士の菅井貴子氏による特別講演などが行われ、約50名の参加者が次世代のパッシブ技術普及などについて議論を交わしました。
初日は冒頭に繪内理事長が、「“Why to do”と“What to do”がこの研究会の本質。私たちはあるシステムを考えようとする時、どちらかと言えば“どのようにやるのか”という“How to”を重要視してしまうが、やはり研究会であれば“なぜするのか、何をしなければならないのか”をしっかり考えないといけない。また、この大合宿は8回目を迎えて特に新しいことを行うわけではないが、マンネリも大事。繰り返し行うことの中から何かをつかんでもらえれば。夜にはお酒も入り、本音を話しやすくなるので、会員それぞれお互いを知り、協力し合ってほしい」とあいさつ。
また、実行委員会委員長の佐藤誠氏(大平洋建業㈱代表取締役)が、「今回で大合宿も8回目を迎えた。目新しい企画は思い浮かばなかったが、マンネリでもやることが大事。全道・関東から多くの会員に参加して頂き、誠にありがとうございます」と感謝の辞を述べました。
続いて北総研・村田氏が『換気に必要な気密性とは』と題して特別講演を行い、良好な空気質の維持と、熱損失の低減という2つの観点から換気に必要な気密性能について説明。第3種換気と第1種熱交換換気について、内外温度差による隙間換気を原因とした換気量の変動や熱損失を抑えるためには、いずれも相当隙間面積=C値1.0㎠/㎡以下とすることが道内では有効とし、気密性を高めた時に気をつけたいこととして「キッチンのレンジフードは運転時に室内にかかる風圧の影響を防ぐため、強制同時給排気型や、レンジフードのスイッチに連動して開く自然給気口を使ってほしい。また、壁付けのプロペラ型パイプファンは風などの影響でフードやグリルに圧力損失がかかった時に風量が落ちやすい」など、機種選定時の注意点を紹介しました。
休憩を挟んで行われた『なんでも話そう生討論』は、これまでのグループ討論・発表からパネルディスカッション方式になり、紺野建設㈱社長の紺野宏氏が司会、㈱竹口組社長の竹口祐司氏と山下建設㈱社長の山下聡氏、㈱伊善建設専務の中村千代美氏がパネラーを務めました。
討論はパッシブ換気に関する話題を取り上げ、採用が多い理由については「最初に採用して以来、快適性や光熱費などの面でいい結果が出ており、社員が自信を持ってお客様に勧めていることが信頼につながっている」(竹口氏)など、設計方法については「1階床面外壁側の全周に床下から暖気を上げるガラリ、室内中心側に床下へ室内の空気が戻るガラリをそれぞれ設け、極力吹抜けを利用して空気を対流させるように考える」(山下氏)など、メンテナンスについては「アースチューブはワイヤーとクロスを使って掃除できること、床下は築2年経つとゴミが気になることがあるため、2~3年に1回は掃除して下さいということを話している」など各パネラーが発言。
また、他の会員からもエアコンの設置位置はどこが適切か、基礎回りからの虫の侵入をどう防ぐかといった質問があり、繪内理事長は「夏季は窓を開けて換気量を確保してきたが、エアコンで冷房を行い、窓を閉め切ってしまう場合は、換気量をどう確保するかという新たな問題も提起された。来年度に向けた宿題として解決に取り組んでもらえれば」と総括しました。
この後、菊田先生が『ソーラーウォーマー搭載仕様パッシブ換気住宅の空気解析』と題して基調講演を行い、太陽熱で温めた外気を室内に供給する太陽熱集熱パネル・ソーラーウォーマー(㈱マツナガ輸入販売)を設置した住宅の換気状態などについて報告。「ソーラーウォーマーを2台設置し、外壁面にも2つの給気口を持つ住宅では、給気予熱と空気質の確保の両面から総合的に判断すると、外壁面の給気口は使わず、ソーラーウォーマー2台のみ中くらいの風量で運転して給気を行うのが最も効果的」と話したほか、こう配屋根にソーラーウォーマー2台を設置して給気予熱を行った住宅では、11月下旬の日射量が多い日に吹出し温度が70℃を超えたことなども明らかにしました。
2日目は、最初に『パッシブ換気で熱回収、蓄熱BOXの作り方パートⅢ』を始めとする同研究会各ワーキンググループの活動報告が行われ、続いて菅井氏の講演『建築の室内気候と防災』などが行われた後、閉会となりました。
2019/2/16
3月8(金)に胆振・白老町で「白老町内に平成19年建設のパッシブ換気住宅見学会と地域セミナー」を開催します。(終了しました)
3月8日(金)午後1時から4時まで、当会会員および会員外の工務店・設計事務所を対象とした「白老町内に平成19年建設のパッシブ換気住宅見学会と地域セミナー」を白老町「一水之館」(白老町字石山45番地・荻の里自然公園近く)で開催します。
2016年8月31日南富良野、十勝地域を襲った台風10号災害の記憶はまだ生々しく記憶に残っているさなか、2018年9月6日、北海道全域を襲った「胆振東部地震」による災害。全道が真っ暗になった「ブラックアウト」を経験しました。これが冬であったらとも考え、電気が止まると何もできないことの無力さと恐怖を感じました。暖房、給水、給湯の動力もそのほとんどが電気。信号の停止による交通の不安など多くのことを経験し、「夏の涼しさや冬の暖かさを機械(電気)に頼らない形でどのように住まいに取り込むか」を考えるきっかけにもなったと思います。
そのような中、今回のセミナーは『白老町内に建設のロフト付小住宅のパッシブデザインと空気循環』をテーマとしました。パッシブデザインへの取り組みの目的の一つには、災害時に居住者に優しい生活環境を維持できる住宅を造るということも大きなテーマです。使用するテキストの表題は「高断熱高気密住宅の暖房設備の設計法」(一財 北海道建築指導センター2010年7月発行)です。住宅の断熱気密性能にこだわって、炊事や家電等の生活排熱、人体から発生する熱や日射取得熱を利用し、冬季の生活空間を暖める工夫や夏の上方開放換気(高窓換気)の励行により、「暖める」技術から「寒さを取り除く」技術への発想転換へのヒントや基本的考え方が纏められ。まさにパッシブデザインの原点です。当日はテキストモデルの住宅を見学後、同住宅の暖房設備の設計法について解説します。
参加ご希望の方は以下のご案内をダウンロードし、裏面の参加申込書に必要事項を記入の上、3月6日(水)まで事務局へFAXでお送りください。参加無料で定員は先着30名です。
・ご案内(参加申込書)ダウンロード(Wordファイル)
・ご案内(参加申込書)ダウンロード(PDFファイル)
お問い合わせ・お申し込みはNPO法人パッシブシステム研究会事務局(TEL.011-213-7547、FAX.011-213-7548)まで。
2018/12/11
11月20(火)〜22日(木)に東京ビッグサイトで行われた「ジャパンホーム&ビルディングショー2018『ふるさと建材・家具見本市』」に出展しました。
パッシブシステム研究会では、11月20(火)〜22日(木)に東京ビッグサイトで行われた「ジャパンホーム&ビルディングショー2018『ふるさと建材・家具見本市』」に北海道グループとして出展しました。
「ジャパンホーム&ビルディングショー」は、「ジャパンホームショー」、「ふるさと建材・家具見本市」、「トイレ・バス・キッチン空間・設備フェア」、「団地・マンションリノベーション総合展」、「景観・ランドスケープ総合展」、「イノベーションオフィス」という、6つの展示会の総称で、国内最大級となる住宅・建築関連の展示会イベント。今回当研究会では北海道で住宅づくりに関わる団体・企業による“北海道グループ”として参加。期間中の来場登録者数は、27,184名を数えました。
展示ブースではパネルでパッシブ換気の技術や関連する部材・商品について、当会の賛助会員である森永エンジニアリング(株)、(株)マツナガ、(株)エクセルシャノン、(株)カネカ、北海道気密販売(株)の5社がカタログで紹介。多くの来場者の方々が興味深くご覧になっていました。
2018/11/29
11月17日(土)に札幌市内で平成30年度第1回パッシブシステム・市民セミナー「気候変動下、突然の災害への備えと、パッシブ技術」を開催しました。
去る11月17日に札幌市内で平成30年度第1回パッシブシステム・市民セミナー「気候変動下、突然の災害への備えと、パッシブ技術-パッシブシステム研究会が目指すパッシブデザインとは-」を開催。北海道文化放送(UHB)「みんなのテレビ」ご出演中(天気、生活情報ご担当)の気象キャスター・防災士である菅井貴子さんが「変動する地球環境・異常気象や震災の中での防災について考える」、北海道大学大学院工学研究院 空間性能システム部門 建築環境学研究室教授の羽山広文先生が「健康と安全を支える住まいの環境。籾山雅子氏の言葉から」、(有)奈良建築環境設計室室長・一級建築士の奈良顕子さんが「パッシブ換気をはじめとしたパッシブデザインの魅力とは」(設計者からのお話し)と題して講演したほか、3名の講師と参加者によるパネルディスカッションも行われました。
冒頭、繪内理事長が「今年発生した台風や地震などの災害で経験したことを思い起こしながら、防災性を備えた健康的な住まいについて、みなさんと考えていきたい」とあいさつした後、菅井さんが『変動する地球環境・異常気象や震災の中での防災について考える』と題して講演。
菅井さんは、地球温暖化が原因と言われる気温の上昇やゲリラ豪雨、大雪などの異常気象がここ数年増えていることを紹介したうえで「異常気象は予測できないことが一番怖いが、自然災害も同じで、最近では北海道胆振東部地震が起こり、全道ブラックアウトになった。これが冬だったら大変なこと。人は気温が4℃を下回ると低体温症になり、2~3℃になると凍死すると言われている。そうすると、停電下で何日間くらい暖を取れるかを考えないといけない。
さらに怖いのは猛吹雪によるホワイトアウト。ブラックアウトとホワイトアウトが重なったら、避難所に行けないし、家にいるしかなくなるが、備蓄している水やトイレ・浴室の水が凍り、もしかしたら冷凍庫の中の方が暖かくなるかもしれない。
月に1回開いている防災研究会で、ある先生が『とにかくこれまでの常識はとっぱらって、“想定外を想定する”など、新しい思考力・行動力を積み重ねていかなければならない時期にきている』と提言していたが、これから家づくりを考えるにあたっては、この言葉を心に留めておいてもらえれば」と、異常気象や自然災害時にも安全な住まいづくりの大切さをお話ししました。
続いて奈良さんが『パッシブ換気をはじめとしたパッシブデザインの魅力とは』と題して講演。「断熱は住宅を暖かくするものという印象が強いが、ヒートショックによる身体のストレス解消など住まい手の命を守る役割もあり、断熱性能は新築時にいくら高めておいても損はない。断熱材自体の価格はそれほど高くなく、40坪弱の住宅なら外壁で200mm断熱と300mm断熱のコスト差は60万円くらいなので、暖房費の削減で10年以内にモトを取れる可能性もある。
また、外壁300mm断熱であれば真冬の一番寒い時に暖房が止まっても、室温低下は1週間で14~15℃程度なので、冬の災害時にも安心できる。パッシブ換気の住宅でそれくらいの室温が確保されていれば、室内外の温度差で自然に換気されるので、灯油のポータブルストーブを使う時の安全性も高い」と、高断熱化やパッシブ換気のメリットなどを説明しました。
羽山先生は『健康と安全を支える住まいの環境。籾山雅子氏の言葉から』と題して講演。住宅内での死亡者と住環境の関係を人口動態統計やアメダス気象データ、全国3地域の室温測定結果などを用いて紹介したうえで、「一般市民の方は『室内が○○℃以下にならないようにして下さい』など、住宅を建てる際に高いレベルの性能を求めることが大切。ビルダーはそれに応える技術を持つことが重要だ。住宅を50~100年使う気持ちで、性能に余裕を持たせた設計を行ってほしい」と、参加者にアドバイスを送りました。
このあと行われたパネルディスカッションでは、地震による全道ブラックアウト時の体験や、冬季の災害への備えなどについて活発な議論が行われ、「太陽光発電の自立運転切替に手間取った」「タンクレストイレの水を手動で流す部分が破損した」など、停電時の暮らしの大変さについて積極的に発言する参加者も目立ちました。
2018/10/25
11月17日(土)に札幌市内で平成30年度第1回パッシブ・市民セミナー「気候変動下、突然の災害への備えと、パッシブ技術」を開催します。(終了しました)

11月17日(土)午後1時から4時30分まで、平成30年度第1回パッシブ・市民セミナー「気候変動下、突然の災害への備えと、パッシブ技術」-パッシブシステム研究会が家づくりの中で目指すパッシブデザインとは-を、リンナイ(株)北海道支店2F会議室(札幌市中央南7条東1丁目1番1)で開催します。
今年年9月6日に北海道全域を襲った「胆振東部地震」で全道が真っ暗になった「ブラックアウト」の怖さを経験し、暖房、給水、給湯の動力のほとんどである電気が止まると何もできないことの無力さを感じる中、『夏の涼しさや冬の暖かさを機械に頼らない形でどのように住まいに取り込むか』などを研究、実践してきた当研究会では、高性能な住宅だからこそ可能な自然の力を利用する技術に着目。基礎断熱した床下を利用する自然給気と排気筒からの排気、床下暖房を組み合わせ極力動力を少なくする換気・暖房システムのパッシブ換気、夏の緑のカーテン、冬は窓から積極的に太陽光を取り入れ暖房負荷を下げる等私達のテーマは数えきれません。突如襲われる災害への防災技術の一つに高性能な家づくりも上げられます。今回のセミナーではその考え方を、多くの市民の方に紹介をします。
当日は話題提供として、北海道文化放送(UHB)「みんなのテレビ」ご出演中(天気、生活情報ご担当)の気象キャスター・防災士である菅井貴子様が「変動する地球環境・異常気象や震災の中での防災について考える」、北海道大学大学院工学研究院 空間性能システム部門 建築環境学研究室教授の羽山広文様が「健康と安全を支える住まいの環境。籾山雅子氏の言葉から」、(有)奈良建築環境設計室室長・一級建築士の奈良顕子様が「パッシブ換気をはじめとしたパッシブデザインの魅力とは」(設計者からのお話し)と題して講演し、その後、菅井貴子様、奈良顕子様、羽山広文様で「防災」「健康」「安全」「パッシブ技術」などをテーマに対談と会場参加者皆様との質疑応答を行います。
参加ご希望の方は以下のご案内をダウンロードし、裏面の参加申込書に必要事項を記入の上、11月15日(木)まで事務局へFAXでお送りください。参加無料で定員は先着90名です。
・ご案内(参加申込書)ダウンロード(Wordファイル)
お問い合わせ・お申し込みはNPO法人パッシブシステム研究会事務局(TEL.011-213-7547、FAX.011-213-7548)まで。
2018/9/1
7月18日に札幌市内で平成30年度第1回会員向けセミナー「パッシブ換気住宅見学&解析ソフト入力実践講座」を開催。
パッシブシステム研究会では、去る7月18日に札幌市内で平成30年度第1回会員向けセミナー「パッシブ換気住宅見学&解析ソフト入力実践講座」を開催。大平洋建業(株)が公開中のパッシブ換気・床下暖房住宅を見学し、その後、今年2月の大合宿でパッシブ換気数値解析ワーキンググループが発表した「新解析ソフト」を参加会員が使い、同公開住宅の住宅仕様を打ち込みながら、パッシブ換気住宅の空気循環をシミュレーションしました。
セミナーには当会会員と、北海道大学および札幌市立大学の学生を含めて30名が参加し、最初に午後1時から大平洋建業(株)が建設・公開した「パッシブ換気・床下暖房システム、ソーラーウォーマー設置」の住宅(札幌市豊平区西岡)を約1時間にわたり見学。同社代表取締役社長の佐藤誠氏(パッシブシステム研究会理事)から、同住宅の概要、特徴の説明を聞きました。
続いて午後2時30分から会場を南区区民センター2F視聴覚室に移し、当会が開発した「解析ソフト入力実践講座」を開催。
見学した大平洋建業(株)の住宅の断熱、設備仕様などを解析ソフトに入力するとともに、暖房、空気循環設計を担当した同社の大山紅音さんが発表を行いました。
また、当会会員で、同じ解析ソフトを使用し現在建設予定のパッシブ換気設計 を行った辻野建設工業(株)の設計担当・可香葵さんも入力事例を発表。 発表後の疑問や質疑応答では、同ソフト共同開発者で当会顧問の北海道大学・菊田弘輝准教授からアドバイスや、解析ソフト入力をする上での考え方などの話もあり、「解析ソフト」が各会員の現場で積極的に活用されていることを実感出来るセミナーとなりました。
2018/6/14
第14回通常総会が開催されました。
去る5月18日に札幌市内で第14回通常総会を開催し、会員・一般市民向けの各種セミナー開催や、パッシブ換気住宅入居者対象のユーザー会立ち上げ、パッシブ換気で熱交換を可能にする“蓄熱ボックス”の実証試験などの事業計画案を始めとする議案を全会一致で承認。総会終了後には繪内理事長による特別講演も行われました。
総会でははじめに繪内正道理事長があいさつに立ち、「パッシブなシステムは、技術的なノウハウを重視する傾向にあるが、単なる“ハウツーもの”に終わることなく、会員のみなさんが地域性や、建て主との協働作業、様々な価値観への対応なども考えたうえで計画・実践できるよう、心新たに頑張って頂きたい」と会員を激励しました。
続いて事業活動や予算など各議案の審議・承認が行われ、今年度の事業活動としては、1泊2日で学識経験者の講演や討論会などを行う毎年恒例の大合宿のほか、年3回の会員向け定期セミナー、パッシブ換気床下暖房の数値解析プログラムの小セミナー、新入会員向けの小セミナー、市民向けセミナーなど充実した研修・普及啓もう活動を展開。また、ユーザー向けパンフレットの制作や、パッシブ換気住宅のオーナーを対象としたユーザー会の立ち上げ、実験住宅におけるパッシブ換気用熱回収装置“蓄熱ボックス”の実証試験および仕様書・施工マニュアル等の作成、リフォーム住宅向けパッシブ換気の検討なども計画しています。
議案の審議・承認の後には10年継続会員表彰も行われ、(株)北一タカハシ建設(札幌市)の髙橋一彦社長、(株)松浦建設(同)の山本誠治部長、三浦眞オフィス(同)の三浦眞代表に、繪内理事長から賞状が手渡されました。
総会終了後には、繪内理事長に『高性能住宅の熱源と暖房方法の選択…パッシブシステムの熱環境計画のトリレンマ』と題して講演して頂きました。繪内理事長は、住宅の断熱性能を高めていくと、使用する暖房熱源の選択は①安全・安心であること②環境を破壊せず持続可能であること③安価に入手可能なであること―の三者択一を迫られる状況になると述べたうえで、これまで提案してきた省エネ暖房の手法などを紹介。「選択肢はたくさんあり、現状ではこれが正解というものはないが、どれが一番合理的かを考えてほしい。また、年間の暖房日数自体を減らすためには、蓄熱容量を増やし、温熱環境の変動を許容する生活をユーザーに納得してもらうことも必要だ」と述べられました。
2018/3/10
2月20・21日に札幌で第7回「大合宿」を開催。
去る2月20・21日に毎年恒例となった第7回大合宿を札幌市内で開催し、高知工科大学准教授・田島昌樹先生による特別講演や、当会顧問の北海道大学大学院助教・菊田弘輝先生の基調講演、同じく当会顧問・副理事長の北海道科学大学教授・福島明先生の技術講演、座談会形式によるディスカッション「なんでも話そう生討論」などが行われ、約60名の参加者が充実した2日間を過ごしました。
初日は冒頭に繪内理事長があいさつを行った後、田島先生が「機械換気システムのメンテナンスにかかる課題」と題して特別講演を行い、メンテナンスや清掃をおろそかにしている機械換気システムは風量の低下や消費電力の増大といった影響が出てくること、そのためシンプルなシステムほどアドバンテージがあること、特に第1種熱交換換気システムはメンテナンスと清掃が他の換気方式よりも重要になってくることなどを説明しました。
特別講演の後に行われた「なんでも話そう生討論」では、、参加者が6つのグループに分かれ、パッシブ換気で外気を床下に導入するアースチューブ内の衛生面や、夏季の換気対応、札幌版次世代住宅基準のトップランナー等級への適用などについて議論。その内容を各グループの代表者が発表し、繪内理事長や田島先生、福島先生、菊田先生らからアドバイスを頂きました。
その後、パッシブ換気量と室温の解析ソフトのバージョンアップ版の発表や、協賛メーカーのプレゼンを行って初日が終了。
2日目は、最初に各ワーキンググループの担当者がそれぞれの活動を報告した後、菊田先生が「これからの住宅に求められる環境技術」と題して基調講演を行い、建築物省エネ法の概要や、一次エネルギー消費量に関する知識、エアコンの特性、超高性能パッシブ換気住宅における太陽熱利用とデマンド換気の評価、「快適」と「不快でない」の境界などについて解説。その後、福島先生による講演「パッシブ換気で熱回収、蓄熱ボックスの作り方パートII」と、協賛メーカーのプレゼンなどが行われ、閉会しました。
2018/2/24
札幌市が主催する「さっぽろエコメンバー」に当研究会が登録されました。
環境にやさしい取り組みを自主的に行っている事業所を登録する札幌市の「さっぽろエコメンバー」に、このほど当研究会が登録されました。
この制度は、環境負荷低減や市民にとって良好な環境を創出する活動を行っている事業者を、広く市民等に紹介することにより、環境に配慮した取組みの普及促進を目的としています。
当研究会は3つある登録区分のうち、全18項目の取組み状況チェックで8項目以上実施している「レベル2(☆☆)」に登録。今後もパッシブ換気システム等の人と環境にやさしい技術の普及を通じて、より良い家づくり・環境づくりを目指します。
2018/2/14
1月31日に札幌市役所で行われた第9回さっぽろ環境賞の表彰式に、当会の繪内正道理事長、江田清三副理事長が出席しました。
1月31日(水)午後4:30から、札幌市長会議室で第9回さっぽろ環境賞の表彰式が行われ、当会の繪内正道理事長、江田清三副理事長が出席し、市民・団体部門
優秀賞を受賞。秋元克広札幌市長から表彰状、及び記念品を受け取りました。
今後は、3月2日〜6日の環境報告書展(地下歩行空間でのイベント)で、受賞者紹介パンフレットの内容をA2サイズのパネルにして展示されます。
なお、会員の方は会員専用ページから当日の写真データおよび展示パネルのPDFをダウンロードできます。
2017/1/8
昨年11月8日に開催された「日高振興局地域住宅セミナー2017」(当研究会後援)の記事が(一社)北海道建築士会日高支部の広報誌に掲載されました。
昨年11月8日に日高・新ひだか町の新ひだか町コミュニティーセンターで開催された「日高振興局地域住宅セミナー2017」(当研究会後援)の記事が、(一社)北海道建築士会日高支部の広報誌に掲載されました。
当日は「これからの住宅に求められる環境技術について」と題し、当研究会理事長で北海道大学名誉教授の繪内正道先生と、当研究会顧問で北海道大学大学院工学研究院助教の菊田弘輝先生が講演を行い、同支部会員など約40名の参加者が熱心に耳を傾けました。
詳しくは右のサムネイル画像をクリックしてください。
2017/12/25
12月4日に札幌市内で12月4日に札幌市内で『パッシブ換気・床下暖房システムでの暖房設備について考える』をテーマに平成29年度第2回会員向けセミナーを開催。
パッシブシステム研究会では、去る7月28日に札幌市内で平成29年度第1回会員向けセミナーを開催。去る12月4日に札幌市内で平成29年度第2回会員向けセミナーを開催。「パッシブ換気・床下暖房システムでの暖房設備について考える」をテーマに、サンポット㈱様、㈱キムラ様、リンナイ㈱様、北海道ガス㈱様がそれぞれ、自社で販売している高効率暖房システムの概要や採用メリット、年間光熱費のシミュレーション結果などについて説明を行いました。
サンポット・技術部技術三課長の岡本淳様は、灯油高効率ボイラーのエコフィールと地中熱ヒートポンプ冷暖房システムを紹介。地中熱ヒートポンプ冷暖房システムについては、地中熱の採熱方法として「ボアホール方式は掘削費がmあたり1万5千円かかり、80m掘ると120万円になるが、水平ループ方式なら長さ10mで4列設置しても60〜70万円くらいで済む」と、水平ループ方式のコストメリットを説明しました。
キムラ・商品部部長兼新商品開発室室長の泉雅暁様は、エアコンによる床下冷暖房システム・エアボレーを紹介。「ダクトで床下の隅々まで温風を送れるので、北側の浴室や脱衣所も十分に暖めることができ、冷房にも使うことが可能」と、システムの特徴をアピールしました。
リンナイ・北海道支店ハイブリッド推進グループリーダーの相澤達也様は、LPガス仕様の高効率ボイラー・エコジョーズとヒートポンプを組み合わせたハイブリッド給湯・暖房システムを紹介。「イニシャルコストは高くなるが、ガス・電気料金を入力するだけで最適な運転パターンに自動制御されるので、エネルギー価格が変動しても、安定したランニングコストで使用できる」と、ハイブリッド熱源ならではのメリットを強調しました。
北海道ガス・マイホーム発電推進チーム統括リーダーの新屋敷雅信氏は、エコジョーズ、ガスコージェネレーションのコレモ、家庭用燃料電池のエネファームを紹介。このうちコレモについては、「従来は電力負荷に応じて運転していたが、今年7月に販売開始した新型では余剰電力の売電が可能になったことで定格運転ができるようになり、効率と経済性が向上した」と新型機の改良ポイントなどを説明しました。
4社の説明の後、当研究会の繪内正道理事長、福島明副理事長、菊田弘輝顧問から解説、補足、意見などをうかがい、繪内理事長は「ランニングコストも含め、パッシブ換気に組み合わせる設備は何がいいのかを、改めて勉強する必要があると感じた。設備業者にも今回のセミナーの情報提供を行い、一緒に考えることで、最も効率のいい設備システムを見つけてほしい」と話してセミナーを締めくくりました。
2017/11/20
当研究会が「第9回さっぽろ環境賞」で優秀賞を受賞しました。

このほど、環境保全に貢献する個人、企業及び団体を表彰する札幌市の「第9回さっぽろ環境賞」で、当研究会が市民・団体部門の優秀賞に選ばれました。
「さっぽろ環境賞」は、札幌の豊かな環境の保全に貢献する個人、企業及び団体を顕彰することにより、市民、事業者等の環境保全に関する意識の向上及び環境配慮活動のさらなる普及促進を図り、ひいては世界に誇れる環境都市の実現に資することを目的としたもの。低炭素社会の形成に資する活動や、環境の保全・創造に資する活動などを対象としています。
今回の当研究会の優秀賞受賞は、数値解析ワーキンググループによる「会員向けチェック&アドバイス」活動が評価されてのこと。札幌市からは「高断熱・高気密住宅において重要となる換気について、その省エネルギー性能の向上と、きれいな室内空気の維持を両立させるため、大変熱心に研究に取り組み、また、ワーキンググループを立ち上げることで、組織的かつ継続的な活動に努めている点を評価しました。自然のエネルギーを工夫し化石燃料の消費を最小限にする仕組みが、今後さらに普及し、寒冷地住宅の基本的な住まい方として定着することを期待します」と講評して頂きました。
なお、受賞については北海道住宅新聞でも紹介されています。詳しくは「新聞等に紹介されました」をご覧下さい。
2017/10/25
11月8日(水)に日高・新ひだか町で当研究会が後援する「日高振興局地域住宅セミナー2017」が開催されます。

11月8日(水)午後1時30分から3時30分まで、新ひだか町コミュニティーセンター1階集会室(新ひだか町静内古川町1丁目1番2号)で、当研究会が後援する「日高振興局地域住宅セミナー2017」が開催されます。道内各振興局への後援およびパッシブ換気技術啓蒙活動は、今回で通算6回目となります。
当日は「これからの住宅に求められる環境技術について」と題し、当研究会理事長で北海道大学名誉教授の繪内正道先生と、当研究会顧問で北海道大学大学院工学研究院助教の菊田弘輝先生が講演を行うほか、「きた住まいる」制度について北海道日高振興局が説明を行います。
参加希望者は所定の参加申込書に必要事項を記入のうえ、FAXで北海道日高振興局産業振興部建設指導課へお送り下さい。締切は11月2日(木)で参加無料。定員は50名です。
・ご案内(参加申込書)ダウンロード(PDFファイル)
お問い合わせ・お申し込みは北海道日高振興局産業振興部建設指導課建築住宅係(TEL.0146-22-9293、FAX.0146-22-7518)まで。
2017/10/23
10月7日(土)に札幌市内で平成29年第1回パッシブシステム・市民セミナー「自然エネルギーを利用したパッシブ換気の今、そして未来」を開催しました。
去る10月7日に札幌市内で平成29年第1回パッシブシステム・市民セミナー「自然エネルギーを利用したパッシブ換気の今、そして未来-パッシブシステム研究会が目指すパッシブデザインとは-」を開催。北海道科学大学教授で当会副理事長の福島明先生と、㈲奈良建築環境設計室室長の奈良顕子さん、札幌市立大学大学院教授の斉藤雅也先生、北海道大学大学院助教で当会顧問の菊田弘輝先生が、これからの住宅の方向性や、パッシブ技術を活用した住宅・建築物の実例などについて、話題提供とパネルディスカッションを行いました。
冒頭に繪内理事長が「講師のみなさんのお話しを聴いて頂いて、家づくりの参考になるヒントを持ち帰って頂くとともに、会場のみなさんとも活発な議論ができれば」とあいさつ。
話題提供では最初に福島先生が『断熱・気密化の変遷とパッシブ換気の今、これから』と題し、北海道の家づくりの歴史や、高断熱・高気密・全室暖房・計画換気の大切さなどを話したうえで、今後の超高性能な住宅づくりについて「日射や通風などを遮断し、室内環境は完全空調システムとHEMSによって寒さ・暑さに対処する“宇宙船型”と、日射や通風を上手に受け入れて室内環境を快適に維持し、空調システムやHEMSは脇役となる“民家型”に分かれていくのでは」と、2つの方向性を示しましたた。
続いて奈良さんが『パッシブ換気、パッシブデザイン住宅の実際』と題して、パッシブ換気など自然エネルギーを利用した住宅事例などを紹介。その中で「暖房エネルギー消費量を抑えるうえで圧倒的に効くのが高断熱化。室内の暖かい空気を逃がさない高断熱な建物を造ることがポイントで、効率のいい設備が一番大切ということではない」と、断熱の重要性について語りました。
斉藤先生は『開口部を上手にデザインする〜パッシブのヒント・知恵を考える〜』と題し、快適・省エネにつながる環境条件などを説明。「身の回りの環境をどう感じるかは、空気の温湿度と、平均放射温度(壁・床・天井の表面温度の平均)、気流で決まる。特に重要視したいのが平均放射温度で、しっかり断熱した躯体であれば、冬季は空気温度を20度前後、平均放射温度を20〜25度とすれば快適になると実験でわかってきている」と、快適性を考えるうえで平均放射温度が大切な視点の一つになることを強調しました。
最後に菊田先生が『超高性能パッシブ換気住宅に適用した最新技術の紹介』と題して、パッシブ換気に太陽熱集熱装置などを組み合わせた住宅の概要などを解説。「札幌版次世代基準のトップランナーやハイレベル程度まで断熱性能を高め、躯体の熱損失が小さくなったところで太陽熱などの再生可能エネルギーを使うと、快適性も省エネ性も高まるし、建物の価値も高まるのでは」と、再生可能エネルギーの上手な利活用を勧めました。
また、パネルディスカッションでは福島先生がコーディネーターを務め、奈良さん、斉藤先生、菊田先生とともにパッシブ換気住宅への薪ストーブ導入や夏対応、これからの暖房システムなどを討論。
夏対応については斉藤先生が「オフィスビルでは窓の室内側にブラインドを付けていても、夏は日射がどんどん入って窓周辺は40度くらいになっている。窓がパネルヒーターとなっているわけだ。住宅もそれと同じ状況になる場合があることを、ユーザーが気付けるかどうかがまず大切」と話し、これからの暖房システムについては菊田先生が「断熱性能が高くなって建物の熱負荷が小さくなれば、設備も現在使われているものよりもっと小さいものでいい。小型化しても効率や価格があまり変わらないのかもしれないが、メーカーが小型で高効率なシステムを製品化しないと、エアコンしか選択肢がなくなってしまう」と意見を述べました。
なお、各講師の資料につきましては以下のPDFをダウンロード可能です。
●福島先生講演資料(PDFダウンロード)
●奈良さん講演資料(PDFダウンロード)
●斉藤先生講演資料(PDFダウンロード)
●菊田先生講演資料(PDFダウンロード)
2017/9/12
10月7日(土)に札幌市立大学サテライトキャンパスで、平成29年第1回パッシブシステム・市民セミナー「自然エネルギーを利用したパッシブ換気の今、そして未来」を開催します。

10月7日(土)午後1時から4時まで、札幌市立大学サテライトキャンパス(札幌市中央北4条西5丁目アスティ45・12階)で、平成29年第1回パッシブシステム・市民セミナー「自然エネルギーを利用したパッシブ換気の今、そして未来-パッシブシステム研究会が目指すパッシブデザインとは-」を開催します。
大規模な自然災害や地球エネルギーバランス変動のニュースを多く聞くようになる中、、『自然エネルギーを利用したパッシブ換気の今、そして未来』(パッシブシステム研究会が目指すパッシブデザインとは)をメインテーマに、、自然の力を利用するパッシブ換気や夏の暑さを和らげる緑のカーテン、冬の暖房負荷を低減する効率的な日射取得など、高性能な住宅だからこそ可能になる旬なパッシブ技術について紹介します。
当日は、北海道科学大学 工学部 建築学科 教授 福島明様が「断熱・気密化の変遷とパッシブ換気の今、そしてこれから」、(有)奈良建築環境設計室 室長 奈良顕子様が「パッシブ換気、パッシブデザイン住宅設計・施工の実際。パッシブ換気システム採用にあたってのお施主様のチェックポイント
」、札幌市立大学デザイン学部・大学院デザイン研究科 教授 斉藤雅也様が「開口部を上手にデザインするパッシブのヒント、知恵を考える(夏の高窓利用、通風、防暑、日射取込み、日射遮蔽等) 」、北海道大学大学院工学研究院 助教 菊田弘輝様が「超高性能パッシブ換気住宅に適用した最新技術の紹介」 と題して話題提供を行い、その後、福島様をコーディネーターに講師の皆様によるパネルディスカッションと、参加者様との質疑応答を行います。
参加ご希望の方は以下のご案内をダウンロードし、裏面の参加申込書に必要事項を記入の上、10月5日(木)までFAXでお送りください。参加無料で定員は先着60名です。
・ご案内(参加申込書)ダウンロード(Wordファイル)
お問い合わせ・お申し込みはNPO法人パッシブシステム研究会事務局(TEL.011-213-7547、FAX.011-213-7548)まで。
2017/8/21
7月28日に札幌市内で「パッシブ換気でZEHを目指す」をテーマに平成29年度第1回会員向けセミナーを開催。
パッシブシステム研究会では、去る7月28日に札幌市内で平成29年度第1回会員向けセミナーを開催。建築温熱環境コンサルタントで北海道大学客員准教授の平川秀樹氏が「パッシブ換気でZEHを目指す」をテーマに、札幌でZEH基準クリアに必要な断熱・設備仕様や、一次エネルギー消費量削減のポイントなどを解説しました。
平川氏は最初にZEHの定義や補助制度の概要などを紹介したうえで、札幌など2地域でZEHを建設するために必要な断熱性能水準と設備仕様などを説明。
断熱性能は、経済産業省補助事業の寒冷地特別強化外皮基準であるUA値0.25W以下、Q値で1.0W以下が目安になるとし、Webプログラムによる一次エネルギー消費量の計算では、「LDKと連続する空間はすべて、エネルギー消費量が他の部屋より多いと判断される“主たる居室”となるため、居間階段があると階段室や2階ホールまで主たる居室の面積に含まれてしまい、一次エネルギー消費量をゼロにするのは難しい。一方、LDKが他の部屋と連続しない独立した空間(同約30m2)であれば、札幌でもQ値1.0W、エアコン暖房、太陽光発電5.88kWでZEHになる。ただ、その場合は閉鎖的なプランになってしまうので、可動式の間仕切り壁を採用するなどの工夫も考えたい」と、主たる居室の面積を小さくすることが一次エネルギー消費量計算のポイントになることを指摘しました。
このほか、一次エネルギー消費量計算で利用できるパッシブ技術として、①通風②蓄熱③床下空間を経由して外気を導入する換気―の3つがあるものの、いずれも利用できる条件が限られており、道内では一次エネルギー消費量を削減する効果があまり見込めないと説明しました。
2017/5/30
第13回通常総会が開催されました。
去る5月13日(土)に札幌市内で第13回通常総会を開催し、地方での活動の強化や、会員・一般市民向けセミナーの充実など今年度の事業計画案を全会一致で承認。北方建築総合研究所研究主幹の谷口円氏による特別講演も行われました。
総会でははじめに繪内理事長が「当会の活動の方向性は、パッシブ関連技術を“どのようにやるのか”という、いわゆるハウツーものに走りがちになってしまうが、これからは地元・北海道で地域性を活かしながら、みなさんとお施主さんが一緒になってパッシブ建築をしっかり計画していくことがとても大事。そしてそれを行動に移すのは、もちろん今ではないかと思う」とあいさつ。
続いて事業活動や予算など各議案を審議・承認。今年度の事業活動としては、全道各地での活動強化として、各振興局主催セミナーへの後援・協力活動の推進、地域別の市民セミナーおよびパッシブ換気住宅の現場公開・見学会の開催を計画。また、これまでも行ってきた大合宿や定期的な会員・一般市民向けセミナーに加え、パッシブ換気床下暖房の数値解析プログラムの小セミナーや新入会員向けの小セミナーを実施するほか、パッシブ換気用熱回収装置“蓄熱ボックス”の仕様書・施工マニュアル等の作成、パッシブ換気住宅のオーナーを対象としたユーザー会の設立なども計画しています。
なお、総会終了後には正会員の(株)江田建設(小樽市)、工匠建設(株)(釧路市)、紺野建設(株)(清水町)、大平洋建業(株)(札幌市)、(有)奈良建築環境設計室(同)、(株)橋本建設(石狩市)、メデル蝦名建業(株)(札幌市)、賛助会員のジェイベック(株)札幌支店、丸二サッシ工業(株)、森永エンジニアリング(株)、YKK AP(株)北海道支社の11社を対象に、10年継続会員表彰も行われました。
特別講演では北総研・谷口氏が「外装材耐久性研究最前線」をテーマに、窯業系サイディングと金属サイディングの耐久性評価に関する研究内容を紹介。窯業系サイディングは、薄い板材を重ね巻して加圧成型する抄造(しょうぞう)法の製品は凍害劣化が生じやすいなど、製品の成型方法によって耐凍害性の違いが大きいこと、金属製サイディングは、ガルバリウム鋼板の基材にフッ素塗装を行った製品の耐久性が高いことを指摘し、「製品選択の際にはメーカーのホームページ等で製法を確認すると同時に、換気フード回りや配管貫通部の防水などサイディングの含水率を高めない工夫、必要に応じた塗装の塗替えやシーリングの補修など、適切な防水施工・維持管理を行ってほしい」と、お話しして頂きました。
2017/3/6
2月22・23日に札幌で第6回「大合宿」を開催。
去る2月22・23日に毎年恒例となった第6回大合宿を札幌市内で開催し、当会顧問で北海道大学大学院工学研究院教授の羽山広文先生による基調講演や、座談会形式によるディスカッション「なんでも話そう生討論」、ワーキンググループの成果発表などが行われ、約60名の参加者がパッシブ換気に対する取り組みや、今後目指すべき家づくりなどについて熱く議論を交わしました。
初日は冒頭に繪内理事長が、「パッシブ関連の技術に対してみなさんが持っている信念や想いを、この大合宿で受けるさまざまな刺激によって活性化してほしい」とあいさつ。 続いてNPO法人になってから10年間、同会の発展に尽力してきたはるす工房主宰の高杉昇氏に感謝状が贈呈された後、大合宿実行委員会委員長の佐藤誠氏(大平洋建業㈱専務)があいさつに立ち、「この大合宿は、学生時代に建築を勉強していた頃の気持ちで、家づくりについて熱く討論しようということで始まった。少しでもみなさんの仕事に役立ててもらえれば」と、大合宿の主旨を話しました。
基調講演を行った羽山先生は「高断熱高気密建築の魅力」と題して、日本のCO2排出量や札幌市のエネルギー消費量の状況、地域別に見た温熱環境と死亡率の関係などについて紹介。その中で「全国的に見ると、冬期の平均気温が高い地域ほど、冬期に心疾患や脳血管疾患などで死亡するリスクも高い。北海道は強い寒波が来た年も、暖冬の年も死亡リスクはほとんど変わらないが、例えば九州では強い寒波が来た年には死亡リスクが急増する。これは北海道と本州・温暖地の住宅の温熱環境の違いによるもの。住宅の断熱性能を上げることが冬期の死亡率低下にもつながる」と、断熱性能が居住者の健康に大きく関わっていることを強調しました。
基調講演の後に行われた「なんでも話そう生討論」では、参加者が6つのグループに分かれ、主にパッシブ換気で採用するアースチューブの結露や虫の侵入、排気筒から聞こえる風切り音、コストなどについて議論。その内容を各グループの代表者が発表し、繪内会長が「今日の議論は、研究会として取りまとめた後、オーソライズされたものとして発表できればと思う。コストについては研究会としても考えていかなければならないテーマで、営業でも活かせるよう研修会等で取り上げていきたい」と総括しました。
この後、繪内会長が平屋を対象としたパッシブ換気量と室温の解析ソフトについての説明を行い、最後に賛助会員と北海道電力さん・北海道ガスさんがプレゼンを行って初日が終了。
2日目は、最初に同研究会普及部門と開発部門のワーキンググループが活動報告を行い、続いて同研究会副理事長で北海道科学大学教授の福島明氏が、パッシブ換気の熱回収を可能にする蓄熱BOXの実測結果を報告。その後、㈱エクセルシャノン営業本部副本部長・末光喜治氏の講演などが行われました。
2017/1/22
2月14日(火)に十勝・芽室町で、とかち型エコ住宅セミナー「浸水被害とその対応について考える “隠れた被害があった!”」を開催します。(終了しました)

2月14日(火)午後1時30分から3時30分まで、十勝・芽室町のめむろーど2階セミナーホール(芽室町本通1丁目・JR芽室駅東側)で、とかち型エコ住宅セミナー「浸水被害とその対応について考える “隠れた被害があった!”」を開催します。
十勝地方で昨年夏に台風による記録的豪雨が発生し、大きな被害を受けたことから、このセミナーでは断熱・気密化された住宅特有の目に見えにくい浸水被害に着目し、その復旧方法を探ります。
当日の講演内容は、1.「住宅の浸水被害状況について」(芽室町における公営住宅の報告、民間事業者からの戸建て住宅の報告)、2.「浸水被害を受けた住宅の復旧における注意事項について」、3.「“きた住まいる”について」。講師は道立総合研究機構建築研究本部企画調整部企画課長・廣田誠一氏ほか。
参加ご希望の方は右上の「ご案内」PDFをダウンロードし、裏面の参加申込書に必要事項を記入の上、2月9日(木)までFAXでお送りください。参加無料で定員は100名程度です。
お問い合わせ・お申し込みは北海道十勝総合振興局帯広建設管理部建設行政室建設指導課(TEL.0155-27-8601、FAX.0155-23-5325)まで。
2016/12/24
12月12日に札幌市内で平成28年度第2回会員向けセミナーを開催。当会福島副理事長と(株)ダンネツ・野村常務が講演を行いました。

去る12月12日に札幌市内で平成28年度第2回会員向けセミナーを開催。(株)ダンネツ常務の野村秀二氏が、断熱型枠とスカート断熱を使った基礎の合理化工法、北海道科学大学教授で当会副理事長の福島明氏が、既存外壁を残したまま行う超高断熱改修の技術について講演を行いました。
最初に講演した野村常務は、大工・職人不足への対応として、自社の断熱型枠・かんたんベースとスカート断熱を併用した基礎の合理化工法を提案。「断熱型枠は簡単に組み立てることができ、生コン打設後の取り外しも不要なので人工・工期・コストの削減につながる。さらにスカート断熱で基礎の根入れ深さを浅くすれば、生コンや根掘り、残土処分のコストも抑えられる」と、そのメリットを説明しました。
続いて福島副理事長が2軒の断熱改修事例を紹介。このうち1軒は45年前に建てられたモルタル外装の住宅で、2本のたる木と合板をはしご状に組んだ付加断熱下地を既存モルタルの上に施工し、グラスウール200mmを付加して耐震性と断熱性を同時に向上させたのがポイント。窓は既存のアルミサッシを残したまま、Low-Eペアガラスの内窓を設置しており、「アルミサッシは耐候性が高いので、汚れを落としてそのまま使い、断熱性能は内窓で確保するほうがいいと考えた。付加断熱によって窓は25㎝ほど外壁面より奥に引っ込んだ形になるので、夏季の日射取得率も半分になる」と、既存のアルミサッシを残した狙いを話しました。
2016/9/23
9月3日(土)に小樽市内で平成28年度第1回市民セミナー『高性能な家だからこそ可能な空気のデザイン』(パッシブ時代の暖房・換気=心地よい優しい風と生きる)を開催しました。
去る9月3日に小樽市内で平成28年度第1回市民セミナー「高性能な家だからこそ可能な空気のデザイン」を開催。㈲奈良建築環境設計室室長の奈良顕子さんが講演し、高性能住宅の特徴・メリットや、自然の力を利用する住宅の施工例などを紹介しました。
冒頭に繪内理事長が「これまで小樽ではなかなか実現できなかったセミナーを、地元会員の協力を得て開催することができた。参加者のみなさんには、パッシブ換気という自然の力を利用するエコロジーなシステムがどういうものなのかを、この機会に知って頂ければ」とあいさつ。
続いて奈良さんが講演を行い、「高性能住宅はエネルギー消費量の削減によって光熱費が抑えられ、家計にもやさしい住まいとなるが、一番のメリットは室温が安定し、家の中の上下温度差も最小限となることで、住まい手が快適さを得られること。人は暑かったり、寒かったり、湿度が高かったりなど、不快な時はそれを口に出して言うが、ちょうど快適だと何も言わない。高性能住宅はその状態をつくることができる」と説明。
また、「空気は暖かくなると軽くなって上に行こうとし、冷たくなると重くなって下に行く。この原理を応用したのがパッシブ換気で、断熱・気密性が高くなると、建物の下と上に穴を開ければ、室内の暖かい空気が上の穴から出て、入れ替わりに下の穴から外の空気が入ってくる。機械に頼ることなく快適な室内環境をつくることができる」と、パッシブ換気のイメージをわかりやすく話し、パッシブ換気に加えて地中熱ヒートポンプ暖冷房や、浴槽の残り湯をトイレで使う中水利用、太陽熱で温めた外気を室内に給気する装置(ソーラーウォーマー)などを採用した3軒の住宅事例も紹介。その中で快適性と省エネ性を両立させるためには、夏冬の太陽高度を考慮した庇の長さや断熱戸の設置など、開口部設計も重要なポイントになることを説明しました。
この後、北海道ガス㈱からガスマイホーム発電・コレモの紹介があり、最後に当会名誉理事で(一社)北海道建築士事務所協会小樽支部の中野隆二支部長(㈲フォルムデザイン社長)と、パッシブシステム研究会副理事長の江田清三副理事長(㈱江田建設社長)があいさつ。江田副理事長は「パッシブ換気の取り組みを通して、今後も自然の力を利用した省エネ住宅づくりを進めていきたい」と話しました。
2016/9/23
9月7日(水)に3団体合同のオープン現場見学・研修会「昔高断熱?・・今並以下?を断熱改修」を後志・仁木町で開催しました。
パッシブシステム研究会では、ソトダン21、あったかリフォーム倶楽部と合同で、9月7日(水)に断熱改修現場を見学する オープン現場見学・研修会「昔高断熱?・・今並以下?を断熱改修」を後志・仁木町で開催しました。
現場は当会副理事長の北海道科学大学・福島明教授が監修し、既存サイディングの上から断熱改修している築18年の輸入住宅(枠組壁工法)。当会会員の(株)江田建設が施工しました。
福島教授は以前から通気層をふさいだ上で、既存サイディングの上からボード状断熱材を付加する断熱改修を提案していますが、今回は1階と2階の階間外周部を丸のこで通気胴縁まで切り込み、そこに樹脂板を差し込んで通気止めとしました。通気止めすることで通気層自体も断熱層とし、その外側に貼る断熱材を生かすことができるという工法です。そして既存サイディングの上からウレタンボードを張り、125㎜ビスで胴縁を狙って止め付け。その上から通気胴縁なしで通気効果がある樹脂サイディングを張って仕上げていました。
福島教授は「既存建物の気密性が高いことが前提になるが、外壁材撤去にお金を使わずに、その分を付加断熱に回してほしい。20年前の枠組壁工法は気密性は良くても断熱性が低い。外壁改修が断熱強化のチャンス」と呼びかけていました。
2016/8/12
9月3日(土)に小樽市内で平成28年度第1回市民セミナー『高性能な家だから可能な空気のデザイン』(パッシブ時代の暖房・換気=心地よい優しい風と生きる)を開催します。

9月3日(土)午後2時から3時30分まで、小樽市いなきたコミュニティセンター(小樽市稲穂5丁目10-1)で、一般市民の方と住宅技術者の方を対象とする平成28年度第1回市民セミナー『高性能な家だから可能な空気のデザイン』(パッシブ時代の暖房・換気=心地よい優しい風と生きる)を開催します。
講師に(有)奈良建築環境設計室室長で一級建築士の奈良顕子さんを迎え、これまでのパッシブ換気住宅施工事例からお話しできる『高性能な家だからこそ可能な空気のデザイン』をテーマに、ご講演して頂きます。
申し込みは右側のご案内のサムネイル画像をクリックし、参加申込書に必要事項をご記入の上、事務局までFAXで送付して下さい。また、お電話(090-7645-7873)でも申し込みを受け付けています。申し込み締め切りは8月31日(水)で、定員は先着60名です。
詳しくは右側のご案内のサムネイル画像をクリックしてください。
2016/8/12
9月7日(水)に会員を対象とした3団体合同のオープン現場見学・研修会「昔高断熱?・・今並以下?を断熱改修」を後志・仁木町で開催します。
パッシブシステム研究会とソトダン21、あったかリフォーム倶楽部が合同で、9月7日(水)午後1時からと同2時からの2回にわけて断熱改修現場を見学する オープン現場見学・研修会「昔高断熱?・・今並以下?を断熱改修」を後志・仁木町で開催します。
当会副理事長で北海道科学大学教授の福島先生の提案で「昔高断熱住宅を今の道内事情に対応した住宅への断熱改修案」がまとまり、また関係各社のご好意により施工現場見学ができる事になりました。
詳しくは
右側のご案内のサムネイル画像をクリックしてください。
2016/6/17
第12回通常総会が開催されました。
去る5月28日(土)に札幌市内で第12回通常総会を開催し、パッシブ換気で熱交換を可能にする“蓄熱ボックス”の性能測定や、ユーザー会の設立など今年度の事業計画案や予算案などを全会一致で承認。繪内正道理事長による特別講演も行われました。
総会では始めに繪内理事長が「“継続は力なり”という言葉もあるが、みなさんのご協力によって当会が発展し、12回目の総会を迎えられたことを、本当に心強く感じている。住宅市場はミニバブルの様相を呈していて、着工件数も増えてきているようだが、調子の良い時こそ奢ることなくさらに努力を重ね、今後も当会が発展し続けていくことができれば、とても嬉しく思う」とあいさつ。
続いて事業活動や予算など各議案を審議・承認。今年度の事業活動としては、これまでも行ってきた会員向けのセミナー・大合宿、市民向けのセミナー・見学会などに加え、パッシブ換気で熱交換を可能にする“蓄熱ボックス”を設置した既存住宅の性能測定、パッシブ換気住宅のオーナーを対象としたユーザー会の設立なども計画。また、役員の改選では理事として新たに㈱竹口組社長・竹口祐司氏、玉根一級建築士事務所所長・玉根盛光氏、拓友建設社長・妻沼澄夫氏、山下建設㈱社長・山下聡氏が就任。㈲フォルムデザイン社長・中野隆二氏、はるす工房主宰・高杉昇氏、㈱伊藤工務店社長・伊藤正人氏の3名を対象に、10年継続会員表彰も行われました。
総会終了後に行われた特別講演では、繪内理事長が「高性能住宅の暖房熱源と暖房方法」をテーマに、躯体の高断熱化を進めていった時の暖房計画のポイントなどを解説。
「暖房計画を考える時に一番重要なのは、断熱性が高くなるほど室内の自然温度が高くなるということ。札幌版次世代住宅基準のトップランナーレベル(UA値0.18W)であれば、最寒期の室内自然温度は約21℃となり、補助暖房は必要だが通常の暖房設備は不要になる。
ただ、床面積120m2という条件でトップランナー住宅の暖房度日数を計算すると1000(K日)になる。この数値を暖房日数にすると150日だが、実際にはそんなに暖房することはないだろう。これは暖房度日数の算出に用いる暖房設定室温が、春や秋の暖房端境期も最寒期と変わらない前提で計算されることが原因と考えられる。このことを念頭において暖房の設備容量を考えることが大切だ」と、お話しして頂きました。
2016/3/7
2月24・25日に札幌で第5回「大合宿」を開催。
去る2月24・25日に毎年恒例となった第5回大合宿を札幌市内で開催し、福島明副理事長(北海道科学大学教授)による基調講演や、座談会形式によるディスカッション「なんでも話そう生討論」、ワーキンググループの成果発表などが行われ、会員やオブザーバーなど約60名の参加者がこれからの家づくりについて議論を交わしました。
初日は冒頭に繪内正道理事長(北海道大学名誉教授)が、「大合宿を毎年続けてきたことによって、内容もだんだん充実してきた。今回も有意義な2日間となるようにしたい」とあいさつ。
続いて福島副理事長が「パッシブ・ここから!?」と題して基調講演を行い、新しい省エネ基準のポイントや、地域工務店が今後目指すべき方向などを紹介。一条工務店がQ値0.8Wの住宅を普通に販売していることを例に挙げ、「地域トップランナーの工務店にとっては、『超高断熱化は特殊なものではなく、全国大手もやっている当たり前のこと』とユーザーに認知してもらう絶好のチャンス。超高断熱化と同時に、地域密着でユーザーの暮らしに合う住宅を手造りすることに力を入れていくべき」と工務店会員を激励しました。
基調講演の後に行われた「なんでも話そう生討論」では、パッシブ換気について『きちんと空気が循環していることを数値でどう説明すればよいか』『冬に給気口が雪で埋まっても大丈夫か』などが議題にのぼり、会員同士で活発に意見交換を行いました。
この後、住まいと環境 東北フォーラム事務局長の酒井善光氏が、同フォーラムの活動や東日本大震災被災地の現状について報告し、最後に協賛メーカー3社が自社商品のプレゼンを実施。夜には懇親会を開催し、会員同士で親睦を深め合いました。
2日目は、同研究会普及部門と開発部門の各ワーキンググループによる発表や、協賛メーカー4社によるプレゼンなどを実施。このうち開発部門のパッシブ換気数値解析ワーキンググループでは、開発したソフト「パッシブ換気量と室温の数値解析プログラム」について、繪内理事長とワーキンググループメンバーが説明を行い、参加者は床ガラリの有効開口面積など、パッシブ換気の設計に必要な数値をパソコンに入力しながら使い方を学びました。
2016/2/23
2月19日に『釧路省エネ住宅セミナー』を開催。

2月19日(金)に釧路市生涯学習センター(まなぽっと幣舞)において、「くしろ省エネ住宅セミナー」が開催されました。
主催は釧路地域住宅協議会(事務局北海道釧路総合振興局建設指導課)、協力(一社)北海道建築士会釧路支部、(一社)北海道建築士事務所協会釧路支部。後援はNPO法人パッシブシステム研究会。
当日は70名を超える参加者で会場が熱気に包まれる中、講師を福島明副理事長(北海道科学大学工学部建築学科教授)と江田清三副理事長((株)江田建設代表取締役)に務めていただき、文字通り当会が後援のイベントとなりました。
最初に『釧路の気候を生かす住まいづくりを考える(住宅性能の歴史と北海道スタイル)』をテーマに福島明副理事長が講演し、続いて『工務店から見た“きた住まいる”』をテーマに江田清三副理事長が講演。さらに北海道釧路総合振興局建設指導課から『“きた住まいる”について』と題した講演もありました。
セミナーの終了後は展示したパッシブ換気住宅の模型とパネルを説明させていただき、地元釧路の設計者及び工務店の方に理解を深めてもらいました。
(NPO法人パッシブシステム研究会 理事 紺野宏)
2015/12/25
『2階建て6室モデル 新解析ソフトについて』をテーマに
会員向け第3回目のセミナーを開催。

12月10日に「パッシブ換気数値解析ワーキンググループ 中間報告=2階建6室モデル 新解析ソフトについて」をテーマとした27年度第3回目の会員向けセミナーを、札幌市内のかでる2.7・730研修室で開催。40名以上の会員が参加しました。
当会パッシブシステム開発部門のパッシブ換気数値解析ワーキンググループ活動では、今年の大合宿で発表した「平屋住宅3室モデルの数値解析プログラム」から、今年度は本格的な2階建6室モデルでの数値解析手法の開発に取り組んできました。
今回のセミナーではその開発内容を具体的に説明できるようになったことを受け、ワーキンググループ員の中野修氏((有)フォルムデザイン)、江田清昭氏((株)江田建設)、白石芳裕氏(大平洋建業(株))が、実際のパッシブ換気住宅の事例を基にQ値計算データやガラリの有効開口面積などパッシブ換気設計に必要な基本的な数値をプログラムに落とし込みながら「解析ソフト」による計算を紹介。また、「解析ソフト」の入力方法については、稲辺賢司氏((株)奥野工務店)が説明しました。
この後、パッシブ換気解析ワーキンググループの中間報告と今後について、繪内正道グループ長(理事長・北海道大学名誉教授)からお話しをして頂き、セミナー終了後には忘年会を開いて会員それぞれ親睦を深め合いました。

2015/10/9
『パッシブ換気と薪ストーブ』『パッシブ換気システムの熱回収』の2つのテーマで、会員向け第2回目のセミナーを開催。
『パッシブ換気と薪ストーブ』と『パッシブ換気システムの熱回収』2つのテーマで、会員向け第2回目のセミナーを札幌市北区北8条西3丁目の札幌エルプラザ2階環境研修室1で18:10から20:30まで開催。会員34名が参加しました。
『パッシブ換気と薪ストーブ』は、当会理事の紺野宏氏(十勝清水町、紺野建設(株))が講師を担当。ここ10年で27台の薪ストーブを導入しながらパッシブ換気住宅に取り組んできた中で、薪ストーブによる風量変化測定等の情報を提供しながら、さらに豊かさや生活の楽しみを住宅にデザインしていくための手法など示唆に富んだ話題を提供してくれました。
また、『パッシブ換気システムの熱回収』は、当会副理事長・福島明氏(北海道科学大学 工学部建築学科 教授)が講師となり、現在ワーキンググループで取り組んでいる同テーマでの活動の中間報告として、抱えている課題や今後の住宅への適用シュミレーションについて話題を提供してくれました。
いずれのテーマも参加した会員からは、質問や意見が多く出され、活発なセミナーとなりました。
(運営主体は、パッシブシステム普及部門、勉強会・研修ワーキンググループ佐藤誠グループ長)
2015/8/5
新年度、第1回目のセミナー『営業活動をテーマとした実践研修会』開催。会員28名が参加し、熱心に議論・発表。
今年度の第1回目となるセミナー『営業活動をテーマとした実践研修会』を、札幌市北区北8条西3丁目の札幌エルプラザ2階環境研修室で18:10から20:30まで開催。「パッシブ換気住宅受注獲得の5つのステップ」をメインテーマとした2部構成で、会員28名が参加しました。運営主体は、パッシブシステム普及部門、勉強会・研修ワーキンググループ佐藤誠グループ長。
パッシブ換気住宅を柱に営業展開する上で会員各社が如何、営業活動をしているかに絞った第1部はグループ討議「営業活動の実践研修」を行い、
第2部はグループの代表によるパネルディスカッション「パッシブ換気住宅の“イロハ”」について、議論・討論を行いました。
2015/7/24
『2020年を見据えて住宅の換気を考えるシンポジウム』東京の共催をしました。
住まいと環境東北フォーラムとパッシブ技術研究会(東京)、NPO法人パッシブシステム研究会(3団体共催)による2020年を見据えて住宅の換気を考えるシンポジウム』を東京都文京区後楽1-4-10 すまい・るホールで13:00~17:00に開催しました。
会場には200名を超える参加者が集まり熱心に聴講していました。
2015/6/26〜27
『合同研究会2015 イン北海道』にオブザーバー参加。
住まいと環境東北フォーラム、信州の住まいを考える会、Dotプロジェクト、ソトダン21
の『合同研究会2015 イン北海道』が6月26日(金)、27日(土)の2日間にわたって、
札幌市中央区北1条西1丁目 わくわくホリデーホール2F第1・第2会議室で開催されました。
2日間にわたる研修の中で、パッシブ換気に係る研究発表(当会顧問の菊田弘輝北大助教)や
パッシブ換気住宅の見学、当会の活動報告などで積極的に参加させていただきました。
2015/6/25
辻野建設工業(株)様 パッシブ換気住宅モデルの見学会を実施。
当会正会員、辻野建設工業株式会社様が入会後初のパッシブ換気住宅を札幌市北区あいの里3条1丁目16番15に建設され、同時に同社のモデル住宅として公開されています。
会員向けの見学会を、6月25日(木)10:00から11:00の間実施。会員19名が参加しました。
2015/6/12
第11回通常総会が開催されました。
去る5月29日に札幌市内で第11回通常総会を開催し、トップランナー水準のパッシブ換気住宅実現へ向けた取り組みなど今年度の事業計画案や予算案などを全会一致で承認しましたまた、総会終了後には鈴木憲三北海道科学大学名誉教授に『北海道における太陽熱利用システムの可能性』の講演をお願いしました。
総会では始めに繪内理事長が「昨年は2つの部門と7つのワーキンググループによる活動体制を整えたが、1年を経過してその実績が問われる時期にきている。引き続き研究課題の設定や研究成果の普及にあたり、会員のみなさんのご協力をお願いしたい」とあいさつ。
続いて事業活動や予算など各議案を審議・承認。今年度の事業活動としては、従来から行ってきた会員向けのセミナー・大合宿、市民向けのセミナー・見学会などに加え、札幌版次世代基準・トップランナー水準のパッシブ換気住宅実現に向け、パッシブ換気で熱交換を可能にする“蓄熱ボックス”を試作。実際の住宅に設置し、冬季に試行実験を実施します。また、パッシブ換気住宅のオーナーを対象とする“ユーザー会(仮称)”設立に向けた準備も行うこととなりました。
総会終了後に行われた特別講演では、鈴木先生が(一社)北海道建築技術協会がこの冬に行った太陽熱温水器の実証試験結果を紹介。隣家や樹木の影が集熱量に大きく影響することを指摘するとともに、今後道内で採用する時の課題として、機器の信頼性と維持管理のしやすさ、夏季の熱需要創出を挙げました。このうち夏季の熱需要を増やす方法としては、「珪藻土やゼオライトなどを使って給気に含まれる湿気を吸着するデシカント式除湿換気を採用し、吸着した湿気を放出させる時に必要な熱を太陽熱でまかなう仕組みを考えている。パッシブ換気でも給気経路に組み込むことができるのでは」と、デシカント式除湿の採用を一つの例として紹介しました。
2015/3/20
札幌・定山渓で第4回大合宿を開催
去る2月16・17日に札幌・定山渓で第4回大合宿を開催し、「新たな10年に向けて」をテーマに、座談会形式によるディスカッション「なんでも話そう生討論」や記念講演、ワーキンググループの成果発表などが行われました。
今回は会員を中心に約50名が参加し、初日は第1回から行われている伝統プログラムの「なんでも話そう生討論」と、㈱ムスビ経営様による記念講演などを実施。
生討論は、パッシブ換気の施工例やお客様への提案方法などを、会員同士ひざを交えて議論することでパッシブ換気の魅力を再確認し、会員各社の家づくりや営業の参考にしてもらうことが狙い。今回はパッシブ換気の標準採用に向けた課題や、レンジフード運転時に懸念される排気筒からの外気流入、アースチューブ内での結露などが議題にのぼりました。
このうち、レンジフード運転時の外気流入については、同自給排レンジフードやシャッター付き排気グリルの採用など、アースチューブ内の結露については、点検・掃除ができるアースチューブ設置方法などの提案があり、当研究会理事長・顧問で北海道大学名誉教授の繪内正道先生は「技術やノウハウが蓄積されたことで、より快適・省エネなパッシブ換気をユーザーに提供することが可能になっている。みなさんには、高品質なパッシブ換気住宅の普及をぜひ進めて頂きたい」と、会員により活発的な活動を促しました。
また、記念講演では㈱ムスビ経営様の林昌見社長らが、誕生日によって人を3タイプに分ける「個性学」をテーマに講演し、社員の個性を活かした組織づくりや、顧客の個性に合わせた営業戦略などを紹介。このほか、住まいと環境 東北フォーラム事務局長の酒井善光氏が、東日本大震災で被災した東北地域の現状について報告しました。
2日目は、同会の普及部門と開発部門のワーキンググループがこれまでの活動成果を発表し、続いて札幌市立大学准教授・斉藤雅也氏の基調講演と、国立保健医療科学院統括研究官・林基哉氏の特別講演がそれぞれ行われました。
2014/11/26
パッシブ換気住宅の設計ポイントと太陽熱利用の可能性を学ぶ。
去る11月14日に平成26年度第2回会員向けセミナーが札幌市内で開催され、当会会員のはるす工房・高杉昇さんに「パッシブ換気住宅の設計と実践」、北海道大学大学院工学研究院助教の菊田弘輝先生に「パッシブ換気住宅の測定結果から見た今後の可能性」を講演して頂きました。
最初に講演した高杉さんは、パッシブ換気の特性として室内の軽い空気の浮力を主な動力とし、常時換気・計画換気が可能であること、室内の温度環境を損なうことなく給気の予熱ができることなどを挙げ、続いて設計換気量の確認方法や、室内の空気循環の開口面積の設定、確認申請図面の記載方法などを説明。これからパッシブ換気に取り組む会員にとってはもちろん、すでにパッシブ換気の採用実績がある会員にとっても参考になる講演となりました。
次に講演した菊田先生は、新鮮外気を太陽熱で温めて室内に供給する壁付け太陽熱集熱パネルを設置したパッシブ換気住宅の温熱環境測定結果を中心に説明。測定したのは2年前に札幌市内で建てられた延床面積約41坪、熱損失係数=Q値0.94Wのパッシブ換気採用住宅で、当会賛助会員の(株)マツナガが輸入販売する太陽熱集熱パネル「ソーラーウォーマー」を1階外壁面に設置し、集熱した太陽熱で新鮮外気を加温した後、ダクトを通じてファンで床下空間へ供給する仕組み。竣工1年目の10月から半年間、各種データ取りを行ったところ、12月は外気温とパネルからの給気温度との差は平均20℃、最大27℃となり、1日の取得熱量は平均2.1kWhという結果になりました。菊田氏はこの結果を踏まえ、「冬期より春・秋の端境期のほうが、補助暖房として暖房負荷削減に果たす役割が大きくなる」と話しました。
このほか菊田先生は、薪ストーブを採用したパッシブ換気住宅の温熱環境や一次エネルギー削減効果なども紹介。参加した約30名の会員は熱心に耳を傾けていました。
2014/10/8
「今後の省エネ住宅のイメージ(省エネ住宅のエネルギー戦略)」をテーマに北海道科学大学教授 福島明氏講演。会員40名集まり盛況。
去る9月25日に平成26年度第1回会員向けセミナー「今後の省エネ住宅のイメージ(省エネ住宅のエネルギー戦略)」が札幌市内で開催され、北海道科学大学教授で当会副理事長の福島明先生に、今後取り組むべき省エネ住宅のイメージについて講演して頂きました。当日は40名の会員が参加し、福島先生の話に熱心に耳を傾けました。
繪内会長のあいさつに続いて講演した福島先生は、北方建築総合研究所が開発した「住宅用トータルエネルギー予測プログラム」を使いながら、断熱性能や設備の違いによって、エネルギー消費量やランニングコストがどれだけ変わるのかを解説。札幌市内で暖房・給湯とも灯油ボイラーを採用した延床面積120m2の住宅を例に、①150mm断熱で総熱損失量140W②200mm断熱で同100W③30mm断熱で同60W―の3パターンで年間暖房費を計算し、150㎜断熱と比べると200㎜断熱は3万8000円程度、300㎜断熱では9万円程度少なくなることを示しました。
この試算結果を踏まえて福島先生は
「エネルギー単価が上がり続けている現在の状況は、高断熱化を進める住宅会社にとって追い風。エネルギー単価が上がれば上がるほど、断熱性能の向上にともなう暖房費の削減額は大きくなり、コストアップ分も早く回収できる」と、各会員に高断熱化の取り組みを促しました。
このほか、今後はパッシブ換気システムで排気の熱回収にも取り組む考えを明らかにし、「関心がある方は、ぜひ協力してほしい」と、同会ワーキンググループへの参加を呼びかけました。
2014/8/22
栗山町の小林酒造創業家宅見学会を開催
去る8月8日の午後、空知管内栗山町で、道内有数の造り酒屋である小林酒造創業家宅の見学会を開催し、総勢19名の会員が参加。十勝・足寄町から遠路はるばる参加した会員もおり、予定時間大幅に伸びながらも全員熱心に見学して、古き良き時代に思いをはせていました。
今回見学した小林酒造創業家宅は、1878年(明治30年)に建てられた和風建築で、小林酒造の創業家が代々住んでいた住宅。国の登録有形文化財にも指定されています。維持費がかかるため、一時は解体も検討されましたが、修復工事を行って存続させることとなり、修復工事には当会の伊藤正人監事(㈱伊藤工務店)が関わりました。
当日は見学会会場近くの錦水庵(きんすいあん:蕎麦で有名)で集合し、昼食をとったあと小林酒造創業家宅に移動して2班に分かれて見学。建物は敷地面積約2310㎡に立つ木造一部2階建て延べ約350㎡の規模で、大小23の部屋があり、明治末期から伝わる酒器やたんす等の調度品をはじめ書画、人形など貴重な品々が見ることができ、明治建築の趣や薫りを感じることができました。
2014/3/12
設立10周年記念式典・第3回大合宿を開催
去る2月18・19日に研究会設立10周年記念式典と第3回大合宿(勉強会)を札幌市内のホテルで開催。会員や関係者のほか、お祝いに駆けつけた東北・東京の住宅関連団体なども含め約60名が出席し、設立10周年の節目を祝いました。
当研究会は、パッシブ換気システムなど自然の力を生かした換気および暖房・涼房の提案・普及を目指し、平成15年に任意団体として設立。平成19年にNPO法人となり、定期的に技術者向けの勉強会やユーザーセミナーを実施するなど、積極的に活動を進めてきました。現在の会員数は正会員・賛助会員を合わせて約50社にのぼります。

初日に行われた記念式典であいさつに立った高杉理事長は、「この10年間でQ値1.0W以下、C値0.5cm2以下の住宅も見られるようになるなど、施工技術の進歩は目覚ましいものがあるが、一方で地球温暖化ガスの排出量削減やエネルギー価格の高騰、少子高齢化への対応など、住宅を取り巻く問題は多様化してきている。今後の10年はこれらの問題を解決し、地域性や資源保護を踏まえた家づくりを構築する期間になると思うが、パッシブ換気など私たちが築いた技術も今後の10年間に活かせると思う。みなさんと議論や意見交換をしながら、さらに実り多き会となるよう活動を継続していきたい」と、次の10年に向けての抱負を語りました。
続いて功労者表彰が行われ、当会理事・顧問で北海道大学名誉教授の繪内正道先生、同じく当会顧問の北方建築総合研究所副所長の福島明先生、優住宅工房の森敏則氏に感謝状と記念品が贈られました。

式典終了後には、当会理事・顧問で北海道大学名誉教授の繪内正道先生が「パッシブデザインのこれから」と題して記念講演を行いました。その中で繪内先生は、高断熱・高気密になるほど生活排熱や日射取得熱が自然室温の上昇に貢献し、暖房日数の減少につながるが、その恩恵を十分得るためには熱容量を増やすことで室温低下を抑える必要もあると強調。「札幌版次世代住宅基準のトップランナー住宅(Q値0.5W以下)で延床面積120m2の場合、内装が一般的な乾式仕上げだと熱容量は1642Wh/Kになり、1年のうち室温が20℃を下回る期間は105日。しかし、熱容量がこの2倍になれば、室温20度以下の期間は15日まで短くなる。無暖房に近いQ値0.5Wクラスの超高断熱住宅の価値をユーザーにわかってもらうには、熱容量を増やことがとても重要だ」と説明しました。
続いて賛助会員各社の商品プレゼンテーションが行われた後、記念パーティが開かれ、参加者は研究会の設立10周年を祝いながら、親睦を深めました。

2日目に行われた大合宿では、当研究会ワーキンググループのメンバーである(有)フォルムデザイン・中野修氏と(株)奥野工務店・稲辺賢司氏が「吹抜け、ふかし壁を取り込んだパッシブ換気回路の簡易計算法」について発表したほか、宮城学院女子大学教授の林基哉氏が、東北におけるパッシブ換気の取り組み状況や、住宅以外の建築物への展開などについて紹介しました。
大合宿終了後も札幌市内でパッシブ換気住宅や札幌版次世代基準トップランナー住宅を見学するなど、参加者には中身の濃い2日間となりました。