NPO法人パッシブシステム研究会、ソトダン21、北海道ビルダーズ協会、アース21の4団体合同オンライン特別Zoomウエビナー「2021/住宅産業大予測〜コロナショックをコロナチャンスに〜」が1月19日(火)に開催されました。
コロナ禍という苦境をチャンスと捉え、住宅業界のさらなる成長につなげていこうと、NPO法人パッシブシステム研究会・ソトダン21・(一社)北海道ビルダーズ協会・アース21の4団体では、合同オンライン特別ウエビナー「2021/住宅産業大予測~コロナショックをコロナチャンスに~」を、1月19日に開催。道総研理事の鈴木大隆氏と(株)新建新聞社社長の三浦祐成氏が、地方定住の促進や、住宅会社による動画サイト『YouTube』の活用について基調講演を行ったほか、北海道科学大学教授で当会顧問の福島明先生をコーディネーターにお招きして基調講演を踏まえた意見交換会なども行われました。なお、今回のセミナーは北海道から沖縄まで、230名以上が視聴しました。
空き家利用しコンパクトなまちへ
セミナーではまず鈴木氏が、「大都市への一極集中と地方の過疎」をテーマに講演。現在国内では、公害発生やインフラの混雑を招く大都市への一極集中と、鉄道や商業施設が撤退し、その地域の住民の生活に支障を来す過疎が問題となっていますが、鈴木氏は新型コロナであらゆる業種で仕事のオンライン化が進んだことや、実際に都市部から地方へ移り住む流れが生まれつつあることもあって、一極集中と過疎の問題は解消に向かっていくのではないかと考察。
その上で、人々の地方定住を実現するために生活圏のコンパクト化が重要になると提言し、生活圏のコンパクト化にあたって空き家の活用を提案。生活圏は郊外に新築が建てば建つほど広がるが、人々の生活圏の拡大は都市経営コストの負担増につながるとし、「街の中心部に多い古い空き家を改修して、安全・快適に住めるようにすることが、コンパクトな生活圏の実現につながるのでは」と提言したほか、地方は大都市に比べて水道光熱費が割高であるデータを示し、こうしたコスト面も地方移住の弊害になっていると指摘した上で、「水道光熱費の問題をクリアするためには、省エネルギーな家づくりが鍵になる」と話しました。
指示される動画のポイント
続いて三浦氏が「コロナショックをチャンスに変える方法」をテーマに講演し、まずは現在の住宅業界について、ステイホームによってユーザーの住環境に対する関心が高まったことや、グリーン住宅ポイント制度に代表される、“グリーンリカバリー”と呼ばれる気候変動対策と経済対策をセットにした政策を国が進めていることなどによって、追い風が吹いていると説明。そして今後の経済について、ワクチンの接種開始や国の経済対策などによって4~6月頃に好転し、回復に進むと推察し、「経済の活性化を見越して、今のうちから手を打つべきだ」と訴えました。
また、住宅会社が打つべき手の一つとしてYouTubeを活用した情報発信を推奨。YouTubeの国内ユーザー数はおよそ8100万人にのぼっており、さらに主な住宅取得者層の20~30代の利用率をみると約9割に達していることから、自社の家づくりをPRするには絶好の場になると強調。YouTubeにはすでに、家づくりの基礎知識などについての動画を投稿している住宅系ユーチューバーが存在していますが、三浦氏は一定の支持を得ている住宅系ユーチューバーの動画のポイントについて、「住み心地の良い家にするにはこれくらいの性能や設備が必要といったような、施主が参考にできる家づくりの物差しを伝えている」と紹介し、さらに「住宅はハード面での差別化が難しい。市場調査しトレンドを追っていくと、結果的に他社と似たようなプランに行き着く。そこで『人』という強みがあれば、施主から自社を選んでもらいやすくなる」と、YouTubeを使った情報発信はユーザーのファン化というメリットがあることも説明しました。 この後、東京大学大学院准教授の前真之氏が、ソトダン21のオンラインセミナーで講演予定の「快適断熱リフォーム」について紹介。福島先生がコーディネーターを務めた意見交換会では各団体の代表者から今回のセミナーを踏まえてユーチューバーとしての活動を本格的に検討したいといった声も聞かれ、意見交換会のコーディネーターを務めた福島先生は、地場工務店がWithコロナという難しい時代の中で今後どう事業に取り組んでいくかについて、「YouTubeをはじめ、チャンスを掴む手段は様々ある。自社に適した方法を見つけてほしい」とコメントしました。