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空知振興局×パッシブ研 転入増で人口200人増加 ―人気の南幌町で住宅技術セミナー開催―

2023年4月15日号北海道住宅新聞に掲載された記事を、同紙の承諾を得て転載します。

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 空知総合振興局とNPOパッシブシステム研究会が共催する住宅技術者向けセミナーが3月22日、移住者増に沸く南幌町で開かれ、見学会とセミナーともに40名ほどの参加者で熱気にあふれた。



 見学会は、南幌町が建設した移住体験住宅で、竣工直前の物件。2LDKの平屋で、新築住宅の建設でにぎわう同町東町に建っている。木外装や200㎜断熱など北海道の住宅技術も採用されている。

 午後からのセミナーでは、移住体験住宅の設計者で㈲アーキシップ・アソシエイツ所長の久保田知明氏が、同住宅や自身が設計したきた住まいるビレッジの増築事案などについて説明した。

 続いて南幌町まちづくり課主事の北嶋宏光氏が同町の移住・定住施策を説明。それによると、同町は2040年の高齢化率が63%に達するという予測もあり、子育て世代の移住促進に力を入れてきた。その施策と札幌圏の地価高騰の影響もあり、この5年で転入者が増え、昨年度は転入者が280人を超え、3月1日現在で人口が前年同期比198人増と24年ぶりに人口増に転じた。
 今年度も子ども向け施設のオープンが予定されているほか、ニュータウン・みどり野団地の販売も好調という。

 技術についての講師はパッシブシステム研究会と道、北方建築総合研究所が担当し、最初に同研究会の松浦邦充氏(㈱松浦建設社長)がパッシブ換気の概要を説明したあと、そのメリットとともにデメリットも説明。お客さまに説明する際は、リスクについても知ってもらった上で、パッシブ換気を採用してほしいからと語った。

 その後は同会理事長の福島明氏(北海道科学大学名誉教授)が、いま全国的に関心の高い全館空調とパッシブ換気・暖房システムを比較しながら特徴を説明し、ファンを使って空気を送り出す空調は、ダクト内にゴミがたまってしまう。このためフィルターがとても大切になるが、パッシブ換気は空気がゆっくり動くので静電気が起きず、ホコリがつかない。メンテがラクなパッシブ換気に対し、フィルターを含めた維持管理がとても大切な全館空調を比較すると、パッシブ換気が優れていると思う。開口部の高断熱化によって窓面の冷気流対策が必要なくなり、これからはパッシブ換気+エアコン暖房も可能だと語った。

 最後に北海道と北方建築総合研究所が本年度から取組を開始する道独自のゼロカーボン住宅基準「北方型住宅ZERO」を説明。道では、南幌町に同基準のモデル団地を計画し、すでに募集を開始した。